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小説 言の葉の庭

言の葉の庭」(感想
(著) 新海 誠


小説版ではハードカバーの装丁(今は変わっているみたいですが)の方が好きです。

これも、またかよって、言われそうですが(笑)

記録を見たら、去年の12月に同監督の次作『君の名は』を観ています。
小学生の娘と観に行ったのですが

それまでの二人の関係(人格入れ替わりに対するドタバタも含め)面白かったのですが
ある時点で、「うーん」となってしまって、いまいち乗れなかったのです。

ただ、ラストの溜めが非常に
『秒速5センチメートル』やそしてこの『言の葉の庭』を観てきた観客の一人として
(こんどこそ、こんどこそ、頼むぞ。。。)と思ってきて、ようやく報われた。と
自然と目を赤くしていたのですが

「お父さん、何、泣いてるの?」とかなり、引いた感じの声で言われて
我に返った体たらくでした(恥)。
(もう、娘とも、映画に行くことも、あと数回が限度でしょうね)

閑話休題。

新海誠監督は映画が出来上がってから、小説を執筆しているのか。
(『君の名は』は劇場公開前に文庫を本屋さんで見かけたので、どちらかはわかりませんが
かなり、映像作品を補填するようになっています)

以前の記事でも書いていますが
それは、映像の中で描いてもらいたいという気持ちもあれば
小説という手法で、様々な語り手を登場させることによって
様々な部分を掘り下げていき、驚かされることが多々あります。

この作品の場合、一人の人間が、ささいな躓きから
人生のの陥穽ともいえる状況に陥る訳ですが
それは、非常に、著者の好きな村上春樹作品を彷彿とさせます。

村上作品では、そこから抜け出すことはとても難しく、ただ、何故かぽーんと何の脈絡もなく
抜ける、状況が変わることがあります。

この作品は村上作品の台詞等もオマージュとして入れ込みながら
人生を何とか進もうとする気力を喪いつつある女性と
たったひとつのことだけを信じて、これから人生のスタートラインに立つ少年との
交流が公園の東屋で行われます。

人生のエアポケットやシェルターのような、外部を遮断したようなそこは
彼らをそれぞれに影響を与え、
時が止まって欲しいと願うような瞬間が訪れても
そこも、他の空間と同じように時間が流れているのです。

それが、映画版のラストでも、小説版のラストでも
今までと全く違った意味を付加されるのがとても好きです。



オーディオブックなるものも購入しました(笑)。
本編でも声を入れられた
秋月孝雄・タカオの声を演じられた入野自由さん。
雪野百香里・ユキノの声を花澤香菜さんの朗読で、すごくいいです。
この作品が好きな方は是非!!

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コメント
こんばんは!
『君の名は』を娘さんとご覧になったんですね。あんまり話題になると興味が薄れてくる性質なんですが、きみやすさんがウルウルしたとなると俄然期待が高まります。見る時は”話題作”ではなく”深海誠監督の作品”として見られそうです。

娘さんはもう思春期かな。成長が嬉しい反面、寂しくもありますよね。でも、いいお父さんだから娘さんが大人になっても仲の良い親子になれるんじゃないかなぁと勝手に信じてます♪

>外部を遮断したようなそこは~他の空間と同じように時間が流れているのです。

あぁ、まさにそんな空間でしたよね!
雨のカーテンに包まれて、そこだけ別の世界になったような、そんな誰もが経験したことがあるようなひと時を思い起こさせてくれます。
小説版のラストも気になってきました。
by: 宵乃 * 2017/10/17 20:01 * URL [ 編集] | UP↑
こんばんは!!
宵乃さん ご無沙汰しております。

> 『君の名は』を娘さんとご覧になったんですね。あんまり話題になると興味が薄れてくる性質なんですが、きみやすさんがウルウルしたとなると俄然期待が高まります。見る時は”話題作”ではなく”深海誠監督の作品”として見られそうです。

あ、えっと・・・映画としておもしろいかって言うと・・・微妙です(爆)
(興行収入がとんでもなくでかい=多くの人が観た作品についていうことじゃないかもしれませんが)

あくまで『秒速』→『言の葉』→『君の名は』の流れで、みていると、ようやく。。。
距離や、時間や、立場や、年齢という様々なもので、隔たれていたものが。という部分に
涙腺が耐えきれなくなっただけ(笑)です。

> 娘さんはもう思春期かな。成長が嬉しい反面、寂しくもありますよね。でも、いいお父さんだから娘さんが大人になっても仲の良い親子になれるんじゃないかなぁと勝手に信じてます♪

過大なお言葉ありがとうございます。
下の娘ももう小五ですね。もう少ししたら一緒に映画に行くこともなくなるでしょうし。
真ん中の長男は、中三で、受験生の癖に友達と『新感染』を観てきたり、うらやましい自覚のない奴です。
上の娘も高三なので、映画の話とかはなかなか・・・(笑)

> >外部を遮断したようなそこは~他の空間と同じように時間が流れているのです。
> あぁ、まさにそんな空間でしたよね!
> 雨のカーテンに包まれて、そこだけ別の世界になったような、そんな誰もが経験したことがあるようなひと時を思い起こさせてくれます。
> 小説版のラストも気になってきました。

新海監督も意識して、今まで、何かに隔てられる人々(主に男女)を書いていたと思うのですけども
小説では、ほんの少し優しい着地点を用意してくれている感じがします。

コメントありがとうございました!!
by: きみやす * 2017/10/17 20:56 * URL [ 編集] | UP↑

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