惡の華 9巻

惡の華(9) (少年マガジンコミックス)惡の華(9) (少年マガジンコミックス)
(2013/08/09)
押見 修造

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惡の華 9巻」(感想
(著)押見 修造

高校生編 3巻目です。
春日に重大な転機が訪れます。

・・・・違いますね。

自ら掴み取りに行くといったらいいのか。

もう、オッちゃん、泣いちゃったよ。

親戚の子を見る気分ですね。(笑)
「あの、あの(色々と反社会行動繰り返していた)あの子が・・・」

(でも、自分の子としてはカンベンな)
『特攻野郎Aチーム』のコング風に

ネタバレを含むので追記に

・・・・この展開に賛否両論あると思いますが
自分は、賛の方ですね。
前巻で佐伯さんに指摘されまくる春日。
(常盤(あのコは))仲村さんの代わり?

あのコも不幸にするの?
(あのコには勿論、(口にしている本人である)佐伯さん自身や仲村さんも入っている訳で・・)

その言葉によって罪悪感と過去によって、再び、動けなくなる春日。

常盤さんからも彼氏・晃司との関係を修復したことを聞かされる・・・

この時の携帯電話のかける、もしくは、受ける 瞬間によって
関係が変わっていたかもしれない、その辺の描写は非常に地味ですけど
スリリングです。

常盤「・・・何で、電話にでなかったの? 土曜日
・・・これって既に“彼女”の言動に近いですよね(笑)

常盤さんは(無意識・意識的)に相談という名目で春日の声が聞きたかった。

ところが、春日は佐伯さんのメンタル攻撃のサンドバックで もうボッコボコ
とてもじゃないけど電話など、でてられないのです。

(ついつい『マツコ・有吉の怒り新党』の三大・ナイツ塙風になってしまいましたが)

常盤さんの携帯にかかってきたのは晃司から。

ただ、ここでもし・・・春日が電話を取っていたら?
佐伯さんと会っていなかったら、今回の展開に行かないのがミソです。

そして、以前とは違うギクシャクした会話が続きます。

ただ、ここで晃司の謝罪を受け入れることにしたのも
(実は)佐伯さんからの

ずっと 逃げてたんだね あの日から
私からも あの町からも 仲村さんからも逃げて
一生 そうやって逃げつづけていくんだね
・・・そうだよね そういうものだよね
わかってたよ・・・ そんなの ・・・でも
でも・・・ がっかりした


この(結構、一方的ですらある)台詞によって

“自分が逃げていたこと”
幽霊と自嘲しながらも、そのこと自体も逃げだったことに
春日は気がつかされます。

逃げることは問題の根本的解決にならないことに
彼はようやく自覚します。

晃司の謝罪を受け入れ、一見幸せなそうな晃司と常盤さんを見る春日。
(おそらく、佐伯さんの台詞に縛られ
彼の中では友人であることが常盤さんの幸せを守ることだと考えているようです)

そう考えると、佐伯さんの前巻の言葉は
春日を動かしもし、縛りもする。
以前の仲村さんのような、違う自分を引き出す言葉
とも違いますね。

その春日の思いとは裏腹に

常盤さんの「・・・ねえ 私のことバカだと思う?
という言葉には
ホメオスタシスの様にまた、昔に戻ろうとする自分を
止めてもらいたい気持ちが
にじみ出ているように感じます。

ただ、佐伯さんの言葉により罪悪感により動けない春日は
それに気づいていないのか、あえてなのか
あくまで(トンチンカンに)小説のアドバイスはするよと回答する。

このあと、別れた後に、春日に呼び止められた
常盤さんの表情が、たまらなく、可愛らしい。

多分、別の言葉を期待していたんだろうなぁ・・・

そして、クリスマス。
常盤さんと晃司はバイト入ることを知りながら
友人たちとの男同士のパーティにも、冷え切って、居心地の悪い家庭にも
帰る気がなくなった春日は夜の町をさ迷う。

常盤さんに友人としてのメールを送ろうとするが
上手くいかない。

ここら辺の描写が良い。

暗闇にそびえる山が(悪の華のように)目が開かれ、罵倒をされる。

『プラネテス』の自己との対話とはまた違いますが
どちらかというと『さくらの唄』や『シガテラ』の感じ。
自分の存在、そのものが“不幸を撒き散らす”という恐れ。
(思春期特有ですよね・・・
本当に、撒き散らす奴は自覚すらしないだろうから・・・)

そして、自分の背の影から現れる仲村さんの幻影。
あれだけ、会いたかったはずなのに、

春日は既に、時の流れを自覚し
自分が会いたかったのは、あの頃の仲村さんであって
今の仲村さんではないことに気づいてしまいました。

そして、今、本当に自分が会いたいのは誰なのか。

自分と同じ“幽霊”である、“彼女”であることをようやく自覚します。
(ここでの“幽霊殺人事件”とのリンクや
携帯電話を閉じる=惡の華を潰すイメージがいいです)

常盤の元へ走る春日。

そして、晃司がいようと、周りがバイト先の店だろうと関係なく
メーターが振り切ったように、自分の想いを口にする姿。

正直、ここ、目頭が熱くなりました。

あの、春日が・・・ここまで。
・・・初めて欲しいと思ったんだろうな。

誰から強いられた訳でもなく
憧れでもなく
同情でもなく、
本当に一緒に生きていきたいと思ったんだろうな・・・。

いいなぁ。
やっぱり、相手の表情とか成功の可能性だとか
そういう戦略みたいなものすらなく
本当に、感情のままに
今、自分のあるものをすべて差し出す、そんな言葉。
差し伸べた手。

常盤さんは、聞きたい言葉を聞けたんだろうな。

今まで、周囲の誰からも言えなかったことが
彼女を貫く姿が・・・。

表情の変化も含めて好きだ。

(まぁ、そうは言っても
流石に・・・晃司や店長さん、店に居た客も
かわいそうには思いました
特に、晃司はもっと怒ってもいい気はしましたが・・・)

彼女の外側ではなく、社会的ステータスでもなく
内面と向き合えたのは
やはり、春日だったんだろうなと思います。

その後の手を繋ぐシーンも

好きな女の子と初めて手を繋ぐと、
なんで、あんなに幸せに感じるんだろうとか
思い出しました。

あの、多幸感みたいなのはなんなんでしょうね?
(多分、脳内にセロトニンとか無茶苦茶分泌されているんでしょうが・・・)

そして、
手に関しては、各話のラストにインサートされている
登場人物たちの手の絵(書き下ろし)。
互いの距離感が分かって気持ちがいいですね。

(・・・・ひとつだけ、血が注がれている?ような絵が
あったのは、ドキドキしますが・・)

後半の幸せそうな日々。
常盤さんの自室の以前は隠されていた本棚が
開いているのも、さりげないけれども大きな変化ですね。

自分が幸せであること。
他者を幸せに出来ることを知った春日は
本当に、わずかなシーンなのですが
両親との関係の修復を図るところも・・・。

そこに、身内の危篤をきっかけに
いよいよ、(一時的とはいえ)あの町へ戻る決意を固める春日。
とうとう、向き合うことになった過去。
ラスボスのようなあの町(群馬県桐生市?)の遠景で終わりますが。

そして、“仲村さん”との再会は?

(・・・実は、もう生きていない気がしてきたんですが・・・)

巻末の6ページも非常に印象的で
いよいよ、思春期からの脱出・成長が描かれるのか?

次巻ぐらいで最終巻のような気もしています。


・・・『言の葉の庭』でも思ったのですが
こういう風なガキの言葉に弱いんですよね。

好きな女性に対してもうこれだけしかない。
与えられるものは“気持ち”だけとか。
金も地位も名誉ももってない、本当のガキだった頃を思い出します。

勿論、それで通用するかしないか、相手次第なんですけどね(笑)
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テーマ:感想 - ジャンル:アニメ・コミック

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コメント
こんにちは!
がっつり書きましたね~。まだ続編アニメ化の希望を捨てきれないから読めないですわ。
でも最後の方でちらっと目に入った、『言の葉の庭』の男の子と春日くんの共通点…第一部の彼から成長したんだろうなぁと想像したら、感慨深くなったり。

クソムシラジオ、とりあえず第一回を聞いてみました。すっごい面白かったです!
春日くん役の子が、元からわりと春日くんだったことに驚愕!
お母さんの気持ちを考えると、なんか切なくなります(笑)

では、自分(惡の華)用のブルーレイレコーダーを確保できるといいですね!
by: 宵乃 * 2013/08/12 14:47 * URL [ 編集] | UP↑

宵乃さん こんにちは!!

> がっつり書きましたね~。まだ続編アニメ化の希望を捨てきれないから読めないですわ。

ごめんなさい。
ついつい、あの春日くんがあんな行動にでるとは思ってもみなかったので
こっちも、何かのゲージが弾けてしまったようです(笑)。

> でも最後の方でちらっと目に入った、『言の葉の庭』の男の子と春日くんの共通点…第一部の彼から成長したんだろうなぁと想像したら、感慨深くなったり。

普通の社会生活から外れていきそうだった彼が
なんとか、地に足が着いた。
そんな感じですかね・・・

> クソムシラジオ、とりあえず第一回を聞いてみました。すっごい面白かったです!
> 春日くん役の子が、元からわりと春日くんだったことに驚愕!

ですよね~。マジでリアルに“春日くん”で笑ってしまいました。

> では、自分(惡の華)用のブルーレイレコーダーを確保できるといいですね!

(惡の華)用レコーダー・・・(笑)
『言の葉の庭』や『スカイフォール』なんかも観ようと思っていましたが

レコーダーを手に入れたら“ク○ムシレコーダー”と名づけようかと
思います(笑)

バカなコメントになってしまって申し訳ありません。
by: きみやす * 2013/08/12 17:25 * URL [ 編集] | UP↑

おはようございます。
9巻まで一気に読んでしまいました。
変に前の方で寸止めくらってたら悶絶死していたかも。笑
いいタイミングで読めました。

9巻は常盤さんの表情がよくって
何度も同じコマを見てしまいました。
晃司がすぐにあきらめちゃったのも
無理はないような気がしました。
自分は常盤さんにあんな表情をさせた事ないでしょうから。


全体を通して春日君に感情移入しまくりでした。
自分は周りとは違うんじゃないかと錯覚してた時期が
私にもありましたので(^^;

仲村さんの事も気になりますが
春日君には幸せになってもらいたいです。

おもしろい漫画を紹介してくださってありがとうございました。

by: マミイ * 2014/01/08 09:31 * URL [ 編集] | UP↑

マミイさん こんにちは!!
> 9巻まで一気に読んでしまいました。
おもわず、休憩中にコーヒーを吹き出しそうになりました(笑)。

> 変に前の方で寸止めくらってたら悶絶死していたかも。笑
> いいタイミングで読めました。
いやー。気に入っていただいて、びっくりするやら嬉しいやら。

> 9巻は常盤さんの表情がよくって
> 何度も同じコマを見てしまいました。
常盤さん いいですよね~。
9巻の微妙な表情の可愛らしいこと。
8~9巻の揺らぎも含めて、良いですよね!!

ちょっと、話は飛びますが
アニメで春日を演じた植田慎一郎という(新人)声優・俳優さんが
ものすごく、“常盤さん”を気に入っていて
一緒にラジオのパーソナリティを務めていた仲村さん役を演じていた声優さんが
納得いかない感じだったのが、凄くおもしろかったです。

> 晃司がすぐにあきらめちゃったのも
> 無理はないような気がしました。
> 自分は常盤さんにあんな表情をさせた事ないでしょうから。

ですよね・・・
彼女が思っている本当の自分に気がついて、手を差し伸べてくれる。
その喜び。

そして、あの春日が、ここまで成長したか・・・と
もう、もらい泣きしてしまいそうでした(笑)

> 全体を通して春日君に感情移入しまくりでした。
> 自分は周りとは違うんじゃないかと錯覚してた時期が
> 私にもありましたので(^^;

・・・自分にもありました(笑)
この漫画を、今、思春期に苛まれているすべての少年少女、
かつて思春期に苛まれたすべてのかつての少年少女に捧げます
”とあるように

ねじくれて肥大した自我を(著者ほどではないとしても)持て余していた自分にとっては
読み進める内に、それがどういう風に、削られていくのか。
そして、どういった部分が残るのか、実感できてしまうのが
いいことなのか、どうなのか(笑)

ただ、今、その渦中にある人にとっては、春日くん・仲村さんが抱える閉塞感。
佐伯さんが感じる、自我の目覚め。
常盤さんの感じていた周囲から求められているものと自分が思う自分へのずれ。
等に触れることによって、救われている子もいると思います。

> 仲村さんの事も気になりますが
> 春日君には幸せになってもらいたいです。

本当に、春日が握る掌は、常盤さんのものであってほしいと
心から思います。

> おもしろい漫画を紹介してくださってありがとうございました。
いえいえ、こちらの方こそ、嬉しい驚きで
本当にありがとうございました!!
by: きみやす * 2014/01/08 15:21 * URL [ 編集] | UP↑

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