阿寒に果つ

阿寒に果つ (角川文庫 緑 307-2)阿寒に果つ (角川文庫 緑 307-2)
(1982/09)
渡辺 淳一

商品詳細を見る

阿寒に果つ」(感想
(著)渡辺 淳一

18歳で夭折した、天才少女画家・時任純子。
著者の自伝的な要素を踏まえながら、彼女への思いを綴った小説。

思い出したくない、青臭い若かりし頃を
半ば、強制的に思い出させられる作品です。

純子のキャラクターが
まず、ここまで、やるのかというのか。
最初は、意図してやっていたのか
最終的にはそのプロデュースしていた自分の“像”に
飲み込まれてしまったような印象を受けました。

「こんなインパクトのある人間が
身近にいたらそりゃあ小説家にでもなるわなー」
と思ったのを思い出します。

(お姉さんが望んでいた小説家ではなく
その当時、なろうとも思っていなかった
著者が小説家になっているのも
人生の皮肉というか、不思議なものを感じます・・・)

画家の浦部が
「純子にいちばん影響を与えたのは私だと思います」と
言っている辺りなんかは、特に・・・

本当に、男の下らない独占欲というのか
最初に彼女の才能に気がついた、(かつ、手をつけた)のは自分だと
(おそらくは、女性にとってはどうでもいい事柄なんでしょうが・・・)
誇るのが、同性からしても馬鹿だなぁ・・・と思いながら

半ば理解できるところが
なんとも複雑なところです.

著者も書き終えて、自らの青春に決着をつけたように
ラストでは自分も愚かな男の一人として
ある種の笑いまで提示するのですが。

実はその当時、高校生で
何も持っていなかった青年が

登場した、画家、記者、医師、カメラマン、姉、(教師)に対して
あなた達は記憶の中に
封じ込めていただけかもしれないが

自分は、ここまで(作品として仕上げるまで)
彼女にこだわっていたんだと
やっぱり、自分が一番彼女を愛していたんだ、と
証明したいという気持ちと

(自我の強い)彼女にとって
死後も自分の存在を他者に知らしめることができる
この作品こそが
一番、彼女の喜ぶものだと。
自分が一番の彼女の理解者だと

確信犯的に、
彼女のために捧げられた作品のような気もします。

・・・・本当に、男というのは
救いがたいというのか
愚かなもんですね(笑)
スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

20 : 00 : 00 | 本感想 | TB(0) | Comment(2) | UP↑

<<バディ・スピリッツ 1~3巻 | ホーム | シュガーレス 18巻>>
コメント

 きみやすさん、こんばんは

学生時代、このポスターに惹かれて読んだ事があります。
(自室の壁に1年位貼ってた)
http://www.culturestation.co.jp/products/detail_image.php?product_id=35752&image=main_large_image

どうも、この純子ってキャラクターが強烈な自意識の塊で、イヤなものを見せ付けられてる感じがしちゃって苦手です。
きみやすさんの記事を拝見して懐かしくなり、30年振りに手に取ってみました。
(読んだのは序章、蘭子の章、終章だけですが)

如何にすれば自分の死を効果的に男へ刻み込む事が出来るか、きみやすさんが仰るように天才的な名プロデューサーぶりがタマらんです。(悪い意味で)

奔放な者が勝ち(逃げし)、必死な(に生きてる)者が負けている>何か作者は、この不合理に腹を立ててるような気が・・・。
チラ読みしただけですが、作者の「アンビバレンツ」を強く感じました。

映画は五十嵐じゅんの隠れファン(笑)だったので観ましたが、酷い出来だったのを記憶しています。(涙)
by: 鉦鼓亭 * 2013/07/14 23:24 * URL [ 編集] | UP↑

鉦鼓亭さん こんばんは!!
ご無沙汰しております。

>強烈な自意識の塊で、イヤなものを見せ付けられてる感じがしちゃって苦手です。

本当に、同意見です。
個人的には近寄りたくないタイプですが、ある種の人たちからはものすごい
吸引力をもつ人のように思えます。

>奔放な者が勝ち(逃げし)、必死な(に生きてる)者が負けている
>何か作者は、この不合理に腹を立ててるような気が・・・。

ああ、それは考えなかったですね!!

ある種、生きるということはそれだけ
面倒くさく、恥も多くなり、自分が持っていると思っている“輝き”も
色褪せるかもしれない
彼女はその当たり前の戦いを放棄したのかもしれませんね。

ありがとうございます。
今度、そういった観点から再読してみたいと思います。

>映画は五十嵐じゅんの隠れファン(笑)
コマキストで、五十嵐じゅんも好き。
あと、あの人やあの作品も好きって
鉦鼓亭さんの懐の大きさに
男として単純に尊敬してしまいます(笑)

最近、映画を観ていないので
コメントできなかったのですが
嬉しかったです!!
コメントありがとうございました。

by: きみやす * 2013/07/15 20:32 * URL [ 編集] | UP↑

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


| ホーム |

プロフィール

きみやす

Author:きみやす
ご訪問、ありがとうございます。

このブログは管理人である“きみやす”が
ひたすら、本やマンガの感想を
書き連ねていくブログです。

お手すきな時にでも
のぞいてみてください。

カテゴリー

最近の記事

ブログランキング

FC2ブログランキング

にほんブログ村 本ブログへ ランキングはこちらをクリック! BS blog Ranking 人気ブログランキングへ 人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ブログランキングに参加しています。 よろしければ、ポチッとお願いします。

月別アーカイブ

小さな天気予報


-天気予報コム- -FC2-

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

最近のコメント

最近のトラックバック

QRコード

QR