復活するはわれにあり
2013/05/20 ( Mon )
![]() | 復活するはわれにあり (2013/04/17) 山田 正紀 商品詳細を見る |
「復活するはわれにあり」(感想)
(著)山田 正紀
余命を宣告された、車椅子のワンマン経営者・権藤。
ジエイゾと名乗る者に拉致され、男が所有する大型船「南シナ海号」に乗船することになったが
船はハイジャックされ、権藤は人質となってしまう。
犯人の背後に蠢く得体の知れない陰謀を感じつつ
超ハイテク車椅子(サイボイド)と共に果敢に立ち向かう。
海上を舞台とした、著者久々の冒険小説!!
それにしても、あとがきや『このミス』で書かれていた病気の方も
良くなられたみたいで、そのことがまず、純粋に嬉しいです。
本作のタイトルも、噛み締めて読んでしまいました。
そして、帯にもありましたし、あとがきにもありましたが
“冒険小説の復活”を謳っています。
山田流の変格とも取れる冒険小説の数々
『崑崙遊撃隊』『謀殺のチェス・ゲーム』『火神(アグニ)を盗め』
『50億ドルの遺産』『ツングース特命隊』『虚栄の都市』等の系譜に繋がる物語です。
日本の冒険小説が強大な敵と戦う物語から
“自己の弱さ”を如何にして克服していく物語と変化し
あらゆるジャンルの物語と同じように拡散・変質していった印象を持っているのですが
脊髄に腫瘍を持ち、下肢の麻痺を持ちながら登場する主人公・権藤。
『神狩り』の主人公・島津のような自我(エゴ)の強い人物。
山田作品が好きな方ならば、懐かしくもあり
(テロリストたちや自分の部下たちも旧友に会えたような感慨を覚えます)
著者自らの経験を活かした、車椅子での介助・苦労と
それらを払拭するために登場した(サイボイド)も
すべて主人公にプラスに働かない所も、皮肉が効いていて。
だからこそ、唐突ともいえるラストシーンの描写が際立つのですが。
次は『神々の埋葬Ⅱ』ですかね?
・・・これも個人的に好きな作品なだけに
どきどきしてしまいます。
個人的には、コンゲームを主体とした“犯罪者もの”も好きなので
新作を書いて欲しいなぁ・・・と期待するばかりです。
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