七人の侍

七人の侍(2枚組)<普及版> [DVD]七人の侍(2枚組)<普及版> [DVD]
(2007/11/09)
三船敏郎、志村喬 他

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七人の侍」(感想
(監督)黒澤 明
(出演)三船敏郎 志村喬

今回のプログ・DE・ロードショーはこの作品でした。

この作品は学生の頃、さぼって観に行った記憶があります。

(朝1回しか上映しないということもあり)
朝10:00前ぐらいには結構な列ができていて
比較的、年齢層が高い男性の方ばかりで
若いのは自分とカップル一組ぐらいでした。

「カップルで七人の侍を観るってなんか、いいな~」と思ったのもつかの間
そのカップルが2階の『ターミネーター2』で降り(笑)
残った壮年の男性たちと観ることになったのですが

当時は煙草を喫っていたので、休憩時間に
撮影当時のエピソードを教えてもらったり
今となってはいい思い出です。

やっぱり、面白い。
話はご存知のとおりの野武士の横行に困った
農民たちが“腹の減った”侍を雇い対抗するという話なんですが

四十騎の野武士と侍・農民たちの対決やいかに?

志村喬演ずる“負け戦ばかり出ていた”と言う勘兵衛の裏腹な心強さ。

農民たちからの信頼も厚い若侍・勝四郎 
この物語は彼の成長物語という側面も有しています。

勘兵衛の人柄についてきた参謀格・五郎兵衛。
勝四郎の腕試しに気づき「ご冗談を」と口にする笑顔がなんとも良い。
自分の名を名乗る前に、この話に乗る決断をする辺りも素敵です。

それは勘兵衛のかつての古女房と呼ばれる七郎次にも当てはまっていて
「実は、金にも出世にもならぬ難しい戦があるんじゃが ついてくるか」
「はい」と即答するところも、やはり惚れ惚れしてしまいます。

とぼけたような、生まれつき快活で正直な平八。後に旗印を考案します。
それとは、正反対な寡黙で
“自分を叩き上げることに凝り固まった”と評される優れた剣技を持つ久蔵。

そして、三船敏郎演ずる菊千代。
野性と劣等感と愛嬌が混在する様は見事としかいいようがありません。

改めてみると、村の細かい描写が最初から行われており
後々になってどういう場所になるのかわかる丁寧さ。

農民たちの率直過ぎる感情の発露。
爺さんを含めた“食えなさ”などは
最初に見たときは農民=庇護されるものという先入観があって
違和感を覚えたのですが

菊千代が「百姓ぐらい悪ずれした生きもんはねぇんだぜ!!」と
侍たちに言ってのけ
そこから先の侍を糾弾するところもやはり、今回も衝撃的でした。

老婆の絶望を知り、それを罵倒した後
その苛立ちを隠さなかったり

子供たち、そして、農民たちとの関係を構築するためには
彼の出目を含めて、ぜひとも必要な役だったんだなぁ・・・と
改めて思いました。

農民たちが簡単に一枚岩にならないところも
むしろ新鮮で。
勘兵衛の説く、戦における非情さと必要性を論じる上手さ

己のことばかり考える奴は 己をも滅ぼす奴だ
耳が痛いですね。

それにしても、捕らえられた野武士を
先ほど、虚ろな表情を浮かべていたはずの老婆が
息子の敵として鍬をもってくる場面や
利吉の女房が放たれた火を見たときの笑み。
菊千代が赤子を預かり、自分の出目を明らかにする場面等

戦の現実をこれでもかと描いています。

それにしても、久蔵が本当に、剣の達人に思えて
てっきり、有段者の方を選抜しただとばかり思ったのですが
役者ってすげぇ・・・と思ったことも思い出しました。

圧巻なのはやはりあの豪雨の場面。
そして、最後。

面白かった。

追記
勘兵衛の戦は何故、今回も“負け”だったのか?

やはり、彼らは“侍”で、いわば猟犬でしかなく
ある意味、同族とも言える野武士を駆逐した今となっては

むしろ、共に戦った農民たち
土地に根付いて生きる人たちとの違いが
浮き彫りになった気がしました。

菊千代も○でもなく“た”でもなく△。
○と“た”の間に居る存在というのは旗からしても分かるのですが
(野武士ですら○で表記された・・・というのはうがちすぎでしょうか)

やはり、彼らは農民からすれば“異物”であり
この戦は農民(そして、彼らのしたたかさ)が勝ったのであり
侍は結局、雇われただけでしかない。
彼ら(農民)の勝利であり、我々(侍)の勝利ではない。

無論、農民になれる訳もなりたい訳もないでしょうし。
彼らとしては、侍としての自負があるでしょうし・・・
(ここが『荒野の七人』との大きな違いかも知れませんね)

あと、このラストを観ていると何故か『ワイルドバンチ』を思い出します。
まだ、侍の世は続いていくとは思うのですが

(パイクのように直接的な表現はないとしても)

勘兵衛という男の中では
侍としての何かが終わったようにも感じます。

だからこそ、より一層
あの旗と旗が鮮明に残る気がします。

・・・あとは作り手と観客の差。

戦争を経験している者と経験していない者の差も
あるような気がします。

どんなに大義名分を振りかざしてみても
戦争が終われば兵士(侍)は用無しとなり
土地に根付いた者の方がしたたかに生きる。
そんな気もします。

・・・また、何年か経って再見してみたいですね。
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テーマ:DVD - ジャンル:映画

23 : 55 : 00 | 映画・アニメ・DVD・TV感想 | TB(1) | Comment(11) | UP↑

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コメント
侍集めのくだりから
楽しくてニヤニヤしてしまいました。ホント、五郎兵衛や七郎次の気持ちいいさわやかなやりとりがいいです。
平八は登場も退場もあっさりしてて「あれ?」と思ってたけど、そういえば旗の考案エピソードがありましたね。菊千代がみんなに認められているのが伝わってきて嬉しくなったシーンです。
久蔵の役者さんは、マジでこの時代のお侍だったことがあるんじゃないかという感じでしたね~(笑)

>“己のことばかり考える奴は 己をも滅ぼす奴だ”
耳が痛いですね。

ですよね。娯楽作としてだけじゃなく、人生を考えさせられてしまうような傑作だと再確認できました。
今回も楽しんでもらえたようでよかったです。ご参加ありがとうございました!
by: 宵乃 * 2013/01/07 10:08 * URL [ 編集] | UP↑

宵乃さん 明けましておめでとうございます。
> 楽しくてニヤニヤしてしまいました。ホント、五郎兵衛や七郎次の気持ちいいさわやかなやりとりがいいです

ですね~。
勝四郎や菊千代も含め
侍のほとんどが勘兵衛という男に惹かれていくのも分かる気がします。

> 平八は登場も退場もあっさりしてて「あれ?」と思ってたけど、そういえば旗の考案エピソードがありましたね。菊千代がみんなに認められているのが伝わってきて嬉しくなったシーンです。

自分も初回に観た時は平八の退場が早すぎと思えたのですが。
今改めて、観てみると
侍の技量としては“中の下”であること。
苦しい時に重宝する(はず)だった彼が早々に死んでしまう
戦というもののままならなさ、過酷さ。

しかし、彼の功績は何よりも
利吉の最後の心の殻を、文字通り、身をもって開いたところ。
そして、農民と侍を繋ぐ、あの旗の存在。

皆が失意に沈む中、菊千代が旗を持って突き刺すところに
やはり、ぐっと来ました。
山犬のようだといわれつつも
実は、侍よりも感受性豊かだったのかもしれません。

旗がラストに登場するのは勿論
彼らの墓と共にあることが相応しいものであり。

逆を言えば、戦いの終結。
農民たちももはや、旗はいらないという
表現のようにも感じました。

> 久蔵の役者さんは、マジでこの時代のお侍だったことがあるんじゃないかという感じでしたね~(笑)

本当に、寡黙な剣の使い手という役柄がはまりすぎでしたね。
その分、時折唇の端や眉に浮かぶ、最小限の演技が際立ちます。

> ですよね。娯楽作としてだけじゃなく、人生を考えさせられてしまうような傑作だと再確認できました。
> 今回も楽しんでもらえたようでよかったです。ご参加ありがとうございました!

こちらの方こそ、正月早々良い作品を観させていただきました。
ありがとうございました。
今年もよろしくお願いします!!
by: きみやす * 2013/01/07 20:05 * URL [ 編集] | UP↑
こんばんは☆
今日鑑賞して、記事を(初見時に追記)アップしました☆
またお時間頂けたらお願いします☆

>戦の現実をこれでもかと描いています。

大きな戦いではなかったけど、きっと基本は同じなのでしょうね~。

きみやすさんの記事では、それぞれの侍の事が詳しく書かれていて、
「ホントにそうだな~」って思うことばかりでした☆

ご一緒できて嬉しかったです。
by: miri * 2013/01/07 20:25 * URL [ 編集] | UP↑
こんばんは
 きみやすさん、初めてお邪魔します

僕も、七郎次の返答の場面がすきです。
「今度こそ死ぬかもしれんぞ」と言われて、
黙って目で答え、ニヤリとする。
(このニヤリに、ちょっとだけシニカルな感じが入っていて、そこが又いい~笑)

今回、見直して、ふと思った事。
勘兵衛が豪農の納屋で泥棒を始末するエピソード。
これって、これから始まる物語の結末を、まるで暗示してるみたいだと。
「一件落着」した途端、農民達は誰一人、勘兵衛の元へ来ないんですよね。
待ってるのは袈裟を貸した坊さんだけ。

ちょっと勘繰りすぎですが。(笑)

出来ましたら、これからも宜しくお願いします。
by: 鉦鼓亭 * 2013/01/08 01:10 * URL [ 編集] | UP↑

miriさん。こんばんは。
今年も宜しくお願い致します。
> 今日鑑賞して、記事を(初見時に追記)アップしました☆
> またお時間頂けたらお願いします☆

読ませて頂きました。
今回観られた時の感想が、以前と少し違う所が
非常に興味深かったです。

> ご一緒できて嬉しかったです。
こちらの方こそ!!
また、宜しくお願いします。
by: きみやす * 2013/01/08 22:18 * URL [ 編集] | UP↑

鉦鼓亭さん おはようございます。コメントありがとうございます。
お名前は常々、他の方の記事で的確なコメントを読ませて頂いたので、恐縮してしまいます。

> 「今度こそ死ぬかもしれんぞ」と言われて、
> 黙って目で答え、ニヤリとする。
> (このニヤリに、ちょっとだけシニカルな感じが入っていて、そこが又いい~笑)

良いですよね~。

> 今回、見直して、ふと思った事。
> 勘兵衛が豪農の納屋で泥棒を始末するエピソード。
> これって、これから始まる物語の結末を、まるで暗示してるみたいだと。
> 「一件落着」した途端、農民達は誰一人、勘兵衛の元へ来ないんですよね。
> 待ってるのは袈裟を貸した坊さんだけ。

> ちょっと勘繰りすぎですが。(笑)
いえいえ。昨晩、その箇所を見直したのですが。
確かにそうですね。 すごい!
教えていただかなかったら、多分ずっと気がつかなかった気がします。

そう考えると勘兵衛の最後の台詞もまた
複雑な味のあるものになりますね。

そう考えると七郎太も単なる物売りではなく
“侍”としての生きる(そして死ぬ)場所を
探していたのかもしれないですね・・・。

> 出来ましたら、これからも宜しくお願いします

こちらの方こそよろしくお願い致します。
by: きみやす * 2013/01/09 12:04 * URL [ 編集] | UP↑

 きみやすさん

こちらのサイトとリンクしたいのですが、いかがでしょうか。
もう一つ、この記事にTBしてもいいでしょうか。
by: 鉦鼓亭 * 2013/01/10 00:14 * URL [ 編集] | UP↑

鉦鼓亭さん こんばんは。

喜んでリンクさせていただきます。
TBの方も全く問題ありません。
これから、宜しくお願い致します。



by: きみやす * 2013/01/10 20:08 * URL [ 編集] | UP↑
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
by: * 2013/01/10 22:32 * [ 編集] | UP↑

きみやすさん、おはようございます。
遅ればせながら「七人の侍」を再見しました。

あまり書くことがなく、というか、書く術がわからず
あっさりとした感想になってしまったのですが
きみやすさんの記事を読んでうなずく事ばかりでした。
どの侍も魅力的で一人として無駄がないですよね。

「た」一文字に象徴されるように農民は集団なんですよね。
台詞のある者もいますが、多くは表情のみの出演。
例え誰かが死んでもまた他の誰かが出てきて
村は存続していく・・・・・
そうやってしぶとくずぶとく生きていくのが農民であり
侍とは違うところなんでしょうね。

弱そうに見えて、落ち武者狩りしていた図太さもありましたね。
今、思い出しました。
by: マミイ * 2013/03/12 06:24 * URL [ 編集] | UP↑
こんばんは
マミイさん こんばんは

> 遅ればせながら「七人の侍」を再見しました。
> どの侍も魅力的で一人として無駄がないですよね。

今考えると、死ぬことすら役割として織り込み済みだったのかなぁ・・・とも
思えてしまいます。

> 「た」一文字に象徴されるように農民は集団なんですよね。
ああ!!そうですね!それは気がつきませんでした。
「た」→田に属するものと言えますね。

> 台詞のある者もいますが、多くは表情のみの出演。
> 例え誰かが死んでもまた他の誰かが出てきて
> 村は存続していく・・・・・

屈辱であるにしろ、保身の為に“利吉の妻”を差し出しているのも
妻のあの表情も複雑ですね。

> そうやってしぶとくずぶとく生きていくのが農民であり
> 侍とは違うところなんでしょうね。

> 弱そうに見えて、落ち武者狩りしていた図太さもありましたね。
> 今、思い出しました。

やっぱり、戦争を経験した世代の方は
様々な経験をしたり、見ているからかもしれませんが
生きる為に、単なるキレイごとすまされないことを
実感として知っているからかもしれませんね。

コメントありがとうございました!!
by: きみやす * 2013/03/12 19:19 * URL [ 編集] | UP↑

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「七人の侍」その2
 「腕を磨く、そして戦に出て手柄を立てる、それから一国一城の主になる、 しかしな、そう考えてる内にいつの間にか、ほれ、このように髪も白くなる、 そしてな、その時には親もな セピア色の映画手帳[2013/01/10 22:34]
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