さらばザンメル
2010/11/18 ( Thu )
さらばザンメル (徳間文庫) (1988/09) 森 詠 商品詳細を見る |
「さらばザンメル」(感想)
(著)森 詠
テレビ局ディレクターを辞職した生沢功治の元に
元GHQであるナヒマンと名乗る初老の男が
戦後、失踪した父・生沢昭吾に捜しに現われた。
父に対するわだかまりを持つ功治の葛藤を
よそに、謎の男ナヒマンは
翌日、「ザンメルは・・・生きている」という言葉を残して
何者かに殺害される。
ザンメルとは何か?
父の失踪に秘められた秘密とは?
これも、再読。
すごく好きな作品の一つです。
最近、様々な本を読み返してみると
主人公の年齢が、今の自分の年齢よりも若かったりして
昔、沢木耕太郎が
フィリップ・マーロウの年齢に対して
あまりにも老成していることに驚いたという文章を
書いていたのを思い出しました。
この物語の核は、“ザンメルとは何か”というその一点にあります。
それが物語を読む原動力になります。
そして、その極めてシンプルな主題に
父と子。戦争。様々なものが浮かびあがり
消えていきます。
ザンメルの正体、そしてタイトルの意味も含め。
もっと評価されて良い作品の一つだと
個人的に思っています。
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