「
最後の敵―モンスターのM・ミュータントのM」(
感想)
(著)
山田 正紀第3回日本SF大賞受賞作。
1982年の作品って今から、32年前かぁ・・・
先日、読んだ同著者の『クトゥルフ少女戦隊』が
どうやら、この『最後の敵』の影響にある(らしい)ということだったので再読。
正直、他の作品は何度も読み返した記憶があるのですが
この作品は正直、高校生の頃に読んだ時には、あまりピンとこなかったので
その時以来だから・・・20数年振りの再読になります。
いやー。面白かったです。
もちろん、『クトゥルフ少女戦隊』との相似点も「なるほど!」と思ったのですが
今、読んでわかることも、いっぱいあって面白かったです。
プロローグの焦燥感溢れる描写。
山田作品には欠かせない謎の美少年。
二転三転する状況。
そして、これでもかとSF的に展開しておきながらの
ラストでのロマンチシズム。
最初に読んだ時は、(サブタイトルからして)どちらかというとその後から発表された
『神獣聖戦』シリーズに登場する「鏡人(M)=狂人(M)」を想起させたり
処女作である『神狩り』から、連綿と続く著者のライフワークともいうべき
“強大なものに対する反逆の物語”の一つとも読めます。
『神狩り』のラストで印象的に登場する“火星”
この作品ではまた“木星”が大きな意味を持ちます。
・・・木星と聞くとすぐに小松左京氏の『さよならジュピター』を思い出したのですが
wikipediaの『さよならジュピター』の項目を読んでみてびっくりしました。
『最後の敵』の中で“人類の墓標”という単語が登場しますが
思わず、映画の主題歌『VOYAGER〜日付のない墓標』を探し出して聴くことに
この『最後の敵』は山田正紀版『さよならジュピター』の意味合いもあったのかもしれません。
再読する機会があって良かったです。
ありがとうございました。
・・・話は逸れますが、多分、これが自分が初めて、松任谷由実という歌手を知った曲でした。
そして、いとこから録音してもらった『VOYAGER』『NO SIDE』のテープを
何度も聴いていたことも思い出します。
ちなみに映画の主題歌『VOYAGER〜日付のない墓標』はアルバム『VOYAGER』には収録されておらず。
ベストアルバムの『Neue Musik』に収録されています。