「
仁義なき戦い」(
感想)
(監督)
深作 欣二(脚本)
笠原 和夫(原作)
飯干 晃一(主演)
菅原 文太 金子 信雄今回のプログ・DE・ロードショーはこの作品でした。
いやー。まさかこの企画でこの作品がでるとは(笑)
リクエストしてくださったポール・ブリッツさんに感謝します。
リクエストの理由もふるっていて
“
日本画史上に残る傑作といわれていて、
シリーズ化もされていて、
たいていのレンタルDVD店に置いてありながら、
見ないタイプの人はまず絶対に見ないから。”
確かに(笑)
自分がこの作品をハマって観てたのは
二十歳ぐらいの頃でした。
タランティーノが『レザボア・ドッグス』でこの作品を100回以上観たそうですが
(あの性格なので、本当かどうかわかりませんが(笑))
今ではDVDが自宅にあるので観たい時にすぐに観れますが
繰り返し観るのはこの第一作と第二作目『広島死闘編』ですかね。
あとは『県警対組織暴力』の方になります。
それにしても、皆若いなぁ。
主人公の広能昌三を演じた菅原文太。
特に、二回目の出所の後の
苦いものを噛み締めるような演技が胸に迫ります。
獄中で主人公の義兄弟になる若杉寛を演じた梅宮辰夫。
今のTVでの姿と違って(失礼)惚れ惚れする程の兄貴っぷりです。
(このシリーズの別作品『代理戦争』『頂上作戦』にも別の人物として登場しますが・・・
眉が・・・怖い)
坂井の鉄ちゃんこと坂井鉄也を演じた松方弘樹。
イケイケの前半部・若頭になってからの迫力と
広能と再会した時の差がたまりません。
自分が“親”が見込んだ人物が自分の期待していたものと違っていた場合
“子”としてどうすべきなのか。
広能の言葉をどのように聞いたのか。
組織をまとめて、勝手な行動をする若い者たちを抑えていたら
自分の“親”であるはずの人間がもっと勝手な行動をする。
抗争を繰り返してきた彼と獄中に居た広能の時間は
二人を決定的に隔ててしまいます。
最後の二人の会話も聞けば聞くほど味が出てきます。
(意外と)子煩悩なところも、人間の多面性を良く表しています。
主人公以上の存在感を醸し出す(あるいは真の主人公とも言うべき)山守義雄演じた金子信雄。
だいたい、この映画をみるとこの人のセリフや表情をまねしたくなります。
槙原政吉を演じた田中邦衛。
(山守と槇原の“泣き”・・・ある意味、ここでも、山守の直系の“子”を表しているのかもしれません。
山守に至ってはもはや技といっても良いレベルですが(笑)
妻の利香と一緒になった時はとんでもないです。)
若頭になった坂井と対立する新開の舎弟で
“ヒロポン”を密売していた若衆・有田俊雄を演じた渡瀬恒彦。
(市会議員・金丸が土居組の再興を持ちかけるシーンで自分の親分である新開が
思わず立ち上がろうとするのを抑えるところや
若頭である坂井に真っ向から歯向かうシーンも凄く好きです。
最後のセリフも、その前の行動からして良くその言葉が出るなぁ・・・と
毎回思ってしまいます。)
この作品の大きな魅力として暴力描写。
あるいはその時代しか持ち得ない猥雑さ、力強さ。
“広島弁”の素晴らしさ等がありますが。
多種多様の人間模様。
表層に現れる抗争部分だけではない
駆け引き、裏切り、策謀。
若い者たちの血気盛んさとそれを利用する上の人間の老獪さ。
あとは、どのようにして秘密が漏れるのか、どのように相手を取り込むのか。
恫喝、諌め、恩情(のようにして)人を自分の思い通りに動かそうとする手法。
仲裁の難しさ、安易に人を信じることの危険性。
いざという時の行動できる人間、動けない人間の差。
どのような人間が台頭してきて、どのような人間が没落していくのか。
金や権力を得た後に人はどう変わるのか。
年を経てから観ると
人間というものが集団を作るとどのようになっていくのか。
その中に居る難しさであったり、理想と現実の差であったり
ここまで激しくはないでしょうが
どんな人間も大なり、小なり味わうのではないのでしょうか。
そういった感想を持ちました。
リクエストしてくださったポール・ブリッツさん、繰り返しになりますが
ありがとうございました。