「
ザ・フォール/落下の王国」(
感想)
(
監督)
ターセム・シン(
主演)
リー・ペイス カティンカ・アンタルー今回の今回のプログ・DE・ロードショーは
第2回真冬のファンタジー企画(SFも可)ということで
5作目はこの作品です。
これも年下の映画好きの方から教えていただきました。
まず、OPから「なんだ、これ?」
動いているのか?静止画なのか?わからない映像のあと物語は始まります。
オレンジの収穫中に木から落ち、腕を骨折して入院していたもうすぐ5才になる女の子・アレクサンドリアは
ギブスをつけながらも病院の中をうろうろとしている。自分の好きなものを一杯つめた箱をもって。
そこで知り合った青年ロイ。
足の感覚がないロイと意気投合したアレクサンドリアは
彼の始めた即興の“愛と復讐の叙事詩”に引き込まれていく。
実は、動けない自分に代わって自殺するための薬を彼女に盗ませようと思い付き
アレクサンドリアを操る為にお話を聞かせ始めるのだった・・・
まず、アレキサンドリア役のカティンカ・アンタルーがちょうどいい感じで可愛くない(笑)
物語が進むにつれ、その自然な表情にハッとさせられる
そこら辺のバランスがとてもいい。
そして、物語のきらびやかさが彼女の想像力によってより一層際立ち
石岡 瑛子デザインの衣装はやっぱり、凄く映えますね。
立体にすると特に凄いです。
(登場人物たちが(彼女の知る現実の人物たちから)採られている
=彼女の視点で、物語が再構築されているのをあとになって気がつくのですが。
ロイの作った即興のお話が良い所で邪魔が入り
彼女に指示を与えていくのですが
彼の怪我の理由。自殺願望の理由。
色んなところで“落下”というテーマが何度も登場します。
即興だったはずのお話は次第に変化していき
ロイの自暴自棄さはお話の中にも顕著になっていきます。
そこでのアレクサンドリアの言葉。
そして、物語のラストで無声映画を観るシーンがあるのですが
そこで起きた笑い声によってロイが救われていくさま。
今までのきらびやかな色彩とは全く逆のモノクロの無声映画
しかし、そんな中で人を笑わせ、喜ばせる先人たち、映画そのものへの愛情と敬意を感じました。
ここで“落下”の意味が肯定化されるのも驚きました。