コニーニ事件
2013/05/05 ( Sun )
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「コニーニ事件」(感想)
(著)フェルディナント・フォン・シーラッハ
(翻訳)酒寄 進一
殺人事件の国選弁護人になった新米弁護士。
だが、被害者は親友の祖父だった・・・
殺人と弁護。
やるべきことをやった。
ただ、それだけ。 (帯より)
2001年5月、ベルリン。
67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。
被害者は大金持ちの実業家で
新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。
だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。
さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り・・・。
公職と私情の狭間で苦悩するライネンと
被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが
法廷で見つけ出した、ドイツに実在した“法律の落とし穴”とは。
刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く物語。
事件そのものは序盤は短編集『犯罪』に記されている
『フェーナー氏』を彷彿とさせるように淡々と進みます。
新米弁護士であるライネンと敏腕弁護士であるマッティンガー。
この二人のガチガチの法廷劇を期待していたのですが
どちらかというと、ライネンの成長と
ドイツに実在した“法律の落とし穴”が読みどころと言えます。
どちらにしても、この著者でしか書けない内容ですし
この小説によってドイツ連邦法務省が
調査委員会を設置した事実もむべなるかな。
あとは訳者あとがきが非常に丁寧で親切。
著者のインタビュー記事からも
歴史(過去)と現代の(当たり前ですが、繋がり)
ただ、あまりにも当たり前すぎて気がつかないことを
端的に語ってくれます。