武者小路実篤 新潮日本文学全集
(著)武者小路 実篤
久しぶりに実家に寄った際に
懐かしく、手に取った次第です。
おそらく、高校二年生の頃に読んでいたと思います。
小遣いも少なく、ヒマだった(勉強しろよ)学生だった自分は
家に何故かあった新潮社日本文学全集に手をだします。
その数年前に父が子供の為に買ってきてくれた
新潮文庫の100冊の中にあった『友情』を読んだこともあり
親近感が(勝手に)あったからかもしれません。
武者小路実篤=“仲良きことは美しき哉”だけの人ではなく。
初期作品の『お目出たき人』の“女に餓えている”と書けちゃう率直さ。
見かけた女性に入れあげ、口もきいたことのない女性に恋焦がれる。
そこから、『世間知らず』等を経て
有名な『友情』や『愛と死』
『真理先生』『馬鹿一』と言った後期の作品群へと行き着く。
何にでも、斜めから見ることに憧れる時期に
そこら辺のポジティヴ・シンキングなんて及びもつかない
“肯定”の強さ。
その当時はそれでも「新しき村」の考え方には
馴染めなかったのですが
『友情』に登場する“野島”や『馬鹿一』の
愚直ともいえる人間性には密かに憧れたものでした。