fc2ブログ

月光条例 13巻

月光条例 13 (少年サンデーコミックス)月光条例 13 (少年サンデーコミックス)
(2011/04/18)
藤田 和日郎

商品詳細を見る

月光条例 13巻」(感想
(著)藤田 和日郎

(帯より)

『マッチ売りの少女』の
結末が気に入らなかった。
なんでかわいそうな女の子が、
かわいそうなコトに
なっちまうんだよ!! 

『うしおととら』第1巻より



20年後、 

藤田和日郎が

見つけた

ひとつの答えが、

ここに。


いや~。
素晴らしい。

帯の見本といいますか

この文章を見ただけでもウルっとしました。

やっぱり、作者やその人の漫画をきちんと
理解している人が作る
“帯”というものはこういうものだ、と教えられた気がします。

作品の内容ですが
いや、ほんとに予想外だったというか。

今回登場する、『マッチ売りの少女』は
この作品が描かれた“核”ともいえるエピソードなので
おそらくラストに登場すると勝手に、
思い込んでいましたので

ここで登場するのか!と驚きました。

現在、物語を牽引している「月打キャラ」“チルチル”も
そして、おとぎ話界の長老の一人“はだかの王様”ですら
救いたいと思った
“マッチ売りの少女”

彼女を救いたいという
チルチルの焦燥、疾走に
作者・藤田和日郎の積年の思いがこもっていて
たまりません。

かわいそうだ。

主人公が
不幸な結末に

なっちゃうのは。

「読み手」の
子供たちだって
かなしく
思っているよ。

そんなの
いやなんだよ。

だから
今度こそ
もたもたしない!

今度こそ
強くなってやる!

次は絶対に
助けてみせるぞ!


この辺は『うしおととら』で
ジエメイを助けられなかった主人公・うしおを彷彿とさせます。

うしおと違って陰、というか怨みの感情が強い分どちらかというと

子供を殺した妖怪を追う・鏢(ひょう)や
自動人形を憎む鳴海に近いですかね。

あるシーンでは人間に絶望した、不動明にも似ています。
(帽子をみるとドロロンえん魔くんにも見えます・・・)

セリフにも作者・藤田和日郎の怒りが
込められていて

マッチを買わずに冷たく当たる町の人間には

けっ。
こいつらマッチを買いもしなかったクセに
翌朝、お前の死体を
見て、とってつけたよーに
涙を流すんだぜ。

ま、クズ偽善者どもなんて
どーでもいいか。

さ。

おまえの
クソオヤジの
家に案内しな


そのクソオヤジこと、義父のところに現われて

おまえか?

小さい娘にろくに食べ物も
与えず、薄着のまま
マッチを売らせているオヤは。


想像力がないなァ
カンケーがないからって、
面白くないコトを
やりすごすヤツばっかりだと思ったか、コラァ。


子供は親の

家畜じゃねえぞ。



ここまで本音を書かれると
正直、胸がすきますね。


同じ作品世界の“青い鳥”が諌めても

ウルセエ

つまんねえ建て前を
ピーピーさえずりやがって。

なんの役にも
立たねえ「幸せ」の無能シンボルが。


と幸せの青い鳥にむかって
こう言い放つ有様です。

本当に、子供の頃から思っていた
凶暴なまでの怒りがビシビシ伝わってきます。

そして、とうとうチルチルは「作者」である
アンデルセンに会いに行き
ストーリーの改変を迫るのですが・・・

ここも本当に読み応えがありました。

一人の「読み手」から
怒り、あるいはその否定をするために
物語のキャラクターを創造し
「作者」となった藤田和日郎。
そして「作者」アンデルセン。

そして、作中の人物として
アンデルセンを描くことによって
ここで「作者」であることの業の深さ。
物語ることの難しさ。
誰に何を言われようとも“譲れない”ものが
互いにあることを
理解したような気がします。

『うしおととら』最終巻で

少女を助けるヒーローなんざ、要らないのかもしれない。

7年間、こいつらに戦ってもらってようやくわかった。

だって。少女が戦わなきゃ。
ただ雪の中、手に息を吹きかけて泣いてちゃ、
誰もふりむいちゃくれないもの。
戦わなきゃ。
しんどくても辛くても、
自分でやんなきゃ。(まんがを描くのもね)


と書いていた時点から

また今回のアンデルセンとの対話を描くことによって
『マッチ売りの少女へ』の思いがまた
変わってきたように感じます。

そして、ヒーローの在り方。

(今巻の表紙にも、さりげなく、それが表れている気がします)

あと、今回は本編だけでなく
あとがきのけっこうコラムに代えて
~老人と海~が描かれていて
涙が止まりませんでした。

どうか、この4ページの短い作品だけでも
多くの人たちの目に触れることを
願っています。

もちろん、食事や住居、衣服。
生きるために必要なものは沢山あります。

物語なんてものは
その次だと自分でも思いますが・・・

ただ、現実の過酷さに対して
物語は、本当に無力なのか。

苦しい時、辛いとき
ほんの一瞬でも
気持ちを奮い立たせたり
辛さを忘れさせてくれたり
物語や笑いはそういった力があると
信じたいです。

本編の内容についても少し。
例によって、反転。


今回、チルチルが魔法により分離した為
分離したチルチルの片方が岩崎月光ということでしょうか?

セリフ中に“心が「どっどど」と”と話した「センセイ」は
宮沢賢治で確定でしょうが

ミチルとエンゲキブの正体がまだ、わかりませんね。

スポンサーサイト



テーマ:感想 - ジャンル:アニメ・コミック

20 : 30 : 00 | コミックス感想 | TB(0) | Comment(0) | UP↑

| ホーム |

プロフィール

きみやす

Author:きみやす
ご訪問、ありがとうございます。

このブログは管理人である“きみやす”が
ひたすら、本やマンガの感想を
書き連ねていくブログです。

お手すきな時にでも
のぞいてみてください。

カテゴリー

最近の記事

ブログランキング

FC2ブログランキング

にほんブログ村 本ブログへ ランキングはこちらをクリック! BS blog Ranking 人気ブログランキングへ 人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ブログランキングに参加しています。 よろしければ、ポチッとお願いします。

月別アーカイブ

小さな天気予報


-天気予報コム- -FC2-

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

最近のコメント

最近のトラックバック

QRコード

QR