「
マリアビートル」(
感想)
(著)
伊坂 幸太郎酒浸りの元殺し屋「木村」は
幼い息子に重傷を負わせた悪魔のような中学生「王子」に復讐するため
東京発盛岡行きの東北新幹線〈はやて〉に乗り込む。
取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」は
車中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも紛失してしまう。
そして、その身代金強奪を指示された、ことごとくツキのない殺し屋「七尾」は
奪った身代金を手に上野駅で新幹線を降りるはずだったのだが……。
『グラスホッパー』に続く“殺し屋小説”
いやー。面白かった。
久々にこの著者の作品を堪能した、そんな気になりました。
数ヶ月前に、伊坂ファンの方が
「『グラスホッパー』みたいな、出てくる登場人物が
みんな悪い奴しかでてこない、あんな話が読みたいですよね~」と言われて
「ですよね~」って深く同意していたのを思いだします。
本当に、そんな感じです。
東北新幹線という閉鎖された空間、舞台の中で
殺し屋たちが“地味に”闘いを繰り広げてくれます。
一見、オフビートのようで、締めるところは、しっかりしめて。
伏線もしっかり張って、きちんと回収され
気持ちが良いです。
二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」も
良い味を出してますし
「王子」も読んでいる人間(大人が)イラっとするように
確信犯的に、しっかり書き込まれています。
(ただ、その分「王子」のパートが少々もたつく感じはありますが・・・)
『グラスホッパー』の登場人物も再登場しますし
前作が好きな方には、是非オススメです。
ちなみに一番笑った(好きな)箇所は
クラシック、古典のようなものだ、
と仲介業者は勢い込む。
ゲームで言えば、
ハイドライドだとか
ザナドゥみたいなものだ、
敬意を払うべきだろう、
と押してくる。”
ここは世代的にツボといいますか
確かに、敬意を払いたくなりました(笑)。
ちなみに『蜜柑』収録。
こちらはもちろん『檸檬』収録。