40―(フォーティ)翼ふたたび
![]() | 40―翼ふたたび (講談社文庫) (2009/02) 石田 衣良 商品詳細を見る |
「40―(フォーティ)翼ふたたび」(感想)
(著)石田 衣良
「人生終わりと思っていたら、40歳が始まりだった。」
と書かれている著者自身の帯の言葉よりも
人生の半分が終わってしまった。
それも、いいほうの半分が。
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裏表紙のこの言葉に惹かれて購入しました。
村上春樹の「プールサイド」や
夢枕獏の現代物でもしばしば登場する“夢の射程距離”
沢木耕太郎の『地図を燃やす』
三十すぎると自分に可能なことが地図のようにはっきり見えてくる―
20代の頃、「30までは何でもできると思っている。
ところが30すぎると自分に可能なことが地図のようにはっきり見えてくる」
との小沢征爾の言葉に強い印象を受けた。
30を過ぎた今、その言葉がある生々しさを伴って明確になっていく。
脳裏に浮ぶ地図をどうしたら燃やし尽くせるのだろうか。
結局のところ、人生の残り時間をどのように使うのか。
ある程度の年数“人間”をやってくると
そこそこ、自分というものが見えてくる。
さて、そこで、どう生きていこうとするのか。
そういったテーマを持ちながら
この著者らしい甘さは十分あって
「こんなヤツはいねーよ」と思いながら
最後まで読ませてしまう不思議。
「IWGP」でもその他の作品でもでてきた
引きこもりとの対話ですが
今回は主人公も相手も40歳。
マコトとは違う対応が新鮮です。