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告白

告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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告白」(感想
(著)湊 かなえ

愛美は事故で
死んだのではありません。

このクラスの生徒に
殺されたのです。
(帯より)

一気に読んでしまいました。

第一章からの緊張感を持続しながら
最後まで読ませる力には脱帽です。

この終わり方も(個人的には)非常に好きです。

ただ、裏面の書店員の推薦文は・・・

内容に触れている部分があるので
できれば、読まずに本編を読まれることをオススメします。
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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

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リアル 8巻

リアル 8 (8) (ヤングジャンプコミックス)リアル 8 (8) (ヤングジャンプコミックス)
(2008/10/29)
井上 雄彦

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リアル 8巻」(感想
(著)井上 雄彦

何回も、感極まってしまい
読むのを中断しなければいけませんでした。

多くの人物が登場し
互いに影響を与え合っていく。

ありふれた、当たり前のことかもしれませんが
何故か、その一つ一つが胸をうち

今回は特に
読んでいて本当に良かったと
思わせる内容でした。

誰もが、何らかの限界を持っている。

(肉体が)どんな状態であるということでだけでなく。
社会的な事柄、制約、そんなものも含めて
大切なのはその中でどう生きていくかだけなのかもしれません。

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デッドマン・ワンダーランド 4巻

デッドマン・ワンダーランド (4) (角川コミックス・エース 138-11)デッドマン・ワンダーランド (4) (角川コミックス・エース 138-11)
(2008/10/25)
片岡 人生近藤 一馬

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デッドマン・ワンダーランド 4巻」 (感想
(著)片岡人生 近藤一馬

希望など、何の意味もない。
ここは“絶望”の楽園。(帯より)

前巻の終盤から急に出てきた
罪の枝能力者=デッドマンの反対制集団“自由の鎖”と
対デッドマン部隊“墓守”との集団戦にストーリーが
変化しております。

相変わらず、痛い描写が際立っています。

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1/2の騎士  harujion

1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス ハF- 1)1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス ハF- 1)
(2008/10/07)
初野 晴

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1/2の騎士 harujion」(感想
(著)初野 晴

まことしやかに囁かれる噂。
それはこの街に漂う狂気だった。
母を亡くし、心に傷を抱える女子高生・マドカが恋に落ちた相手――
それは最強の騎士『サファイア』

ふたりの出会いは、忍び寄る狂気――
社会の片隅でひっそりと息づく異常犯罪者たちから

大切な人、そして愛する街を守るための戦いのはじまりだった。

大人への道程にいる、いまだ“不完全”な彼女たちを待ち受ける、過酷な運命とは・・・・・・
透明感のある文章で紡ぎ出すファンタジックミステリー。

今回は『リボンの騎士』がモチーフです。

作品の中にしっかり入っていけるように
導入部からきちんと構成が考えられているのがわかります。

ただ、前々作の『水の時計』のような
ファンタジーの部分ととハードな部分のギリギリのバランスは
残念ながら、保てなかった印象を受けました。

(正直、ミステリーとしてもかなり無理が・・・・)

しかし、主人公であるマドカやサファイヤなど
登場するキャラクターのほとんどが、何らかの欠落等を抱えており
それをどのように自分自身で消化・処理をしていくなんて
(難しい)テーマに取り組んでいたり

自分の持っているイメージを
(上手いたとえではないかもしれませんが)
気合の入ったマンガの見開きのように

「ここが描きたかったんだ」と
納得してしまうようなシーンを
“一枚の絵”のように

読み手に想像させるような
特徴のある文章もっている

様々な才能をもっている書き手だと思っていますので

次の作品にも期待しています。

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おおきく振りかぶって 11巻

おおきく振りかぶって Vol.11 (11) (アフタヌーンKC)おおきく振りかぶって Vol.11 (11) (アフタヌーンKC)
(2008/10/23)
ひぐち アサ

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おおきく振りかぶって 11巻」(感想
(著)ひぐち アサ

祝・3回戦突破!
しかし、全ての試合を完投しても
三橋の卑屈さは変わらない。
(裏表紙より)

・・・(笑)ここまで、卑屈さを明記されている主人公も珍しいですね。

ただ、本当に過程を大事に描いているマンガなので
中学3年間のトラウマをどう払拭していくのか。
じっくり時間をかけていただきたいと思います。

ストーリーの展開としては
4回戦を上手く処理して、周囲の人間模様
(今回は応援団・チアガール・選手の親たち)を描き

5回戦で、はじめて相手から研究される立場になり
三橋ではなく阿部の思考パターンを読んで
戦略を立ててきた油断のない敵と戦うことになります。

よく、考えると完璧に思えた阿部も
三橋も高校一年生。

そして「知り合って3ヶ月・・・」なんですね。(笑)

今巻ではじめて登場した阿部の父親との会話で
気がつかされました。
(今巻は特にこの父親が色んな意味で良かった。
外見も、性格も・・・)

まだまだ、未成熟で、成長過程の彼らを
この試合が二人の関係を
どういう風に変えていくのか

そして、今後は才能もあり、練習も積んできている“野球バカ”たちに
どう、戦っていくのか。

非常に楽しみです。

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フレフレ少女 2巻

フレフレ少女 2 (2) (ジャンプコミックスデラックス)フレフレ少女 2 (2) (ジャンプコミックスデラックス)
(2008/10/17)
橋本 裕志渡辺 謙作

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フレフレ少女 2巻」(感想
(原作)橋本 裕志 渡辺 謙作
(漫画)よしづき くみち

2巻目が早くも登場しておりました。

人が人を応援する理由。
とてもストレートで、読んでいて気持ちが良かったです。

原作(?)を読んでいないのでどうかはわかりませんが

すこし、応援団の快進撃のピッチが早かったような気がします。
もう少し、ためていた方が、もっと盛り上がったような・・・

あとは、主人公が恋をしていた
大嶋のキャラクターが
わかりやすく悪くなっていたのには驚きました。

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絶対、最強の恋のうた

絶対、最強の恋のうた絶対、最強の恋のうた
(2006/10/26)
中村 航

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絶対、最強の恋のうた」(感想
(著)中村 航

感想としては、読み終えた後にほっとしました。

ストーリーとしてはいたってシンプルで
大学生二人の恋愛。
本当によくある話なんですが・・・

きちんと恋愛の初期の感情
多幸感であったり、変わっていく自分に対する戸惑いであったりを
丁寧に、しっかりと描いているので
読んでいて、気持ちが良いです。

この人の文体はさらっとしていながらも
どこかクセになる感じがあって
個人的にはとても好きです。

主役の二人が
いささか、お行儀が良いと思ってしまうところもありますが
微笑ましく
脇を固める登場人物たちも良い感じで
ほっとします。

ただ、タイトルが・・・(笑)
勿論、意味もきちんとあるのですが・・・

個人的には、このタイトルのせいで
数回、手に取るのを躊躇しました。

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夜明けの街で

夜明けの街で夜明けの街で
(2007/07)
東野 圭吾

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夜明けの街で」(感想
(著)東野 圭吾

不倫するやつなんて

馬鹿だと思っていた。


ミステリーとしてはあくまで“つけたし”の感じが強いです。

それよりも、一人の男が
不倫を続けるために
どれだけのことをしなければならないのか。

失うもの、得るもの。

男の欲望、小狡さ、身勝手さ
本人も自覚していない残酷さ。

女の変化。怖さ。

あと、特筆すべきは、セリフの上手さです。

セリフの内容もさることながら
ここで(このタイミングで)
それを言うのかという
計算された言葉には
正直、びっくりしました。

ただ、結末は
期待したほどではなく
もう少しといったところでした。

番外編をまで読んでみて
ようやく、「そうくるか」という感じです。

読み終えた後、最初に頭に浮かんだのは。
この著者は(良くも悪くも)
やっぱり、性格悪いよな・・・ということでした。

男女によって、そして、立場によっても評価は
ものすごく変わってくる作品だと思います。

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未満れんあい 1巻

未満れんあい 1 (1) (アクションコミックス)未満れんあい 1 (1) (アクションコミックス)
(2008/10/11)
高嶋 ひろみ

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未満れんあい」(感想)
(著)高嶋 ひろみ

彼女居ない歴=年齢=29歳。
職業 18禁ゲーム製作。
剛毛天パー。

パソコンのディスプレイの中の女の子以外との恋なんて
一生縁がないと思っていた。
そんな男の前に、ある日トツゼン訪れた出会い。

一瞬にして彼の心を奪った、可憐で素直で真面目な
まさしく天使のような彼女は……女子中学生!? しかも一年生!?
(出版社HPより)

『電車男』から1つのジャンルになりつつある感じの
“オタクと女性の恋愛もの”ですが・・・

著者が女性ということもあって
オタク男性のドロドロとした内面もあまりなく
あっさりと読めますが

ヒロインもあまりにも良い子なので
いささか、拍子ぬけというか。

どうなんでしょう?
ラブコメなんだから、これでいいのかもしれませんが・・・

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水の時計

水の時計 (角川文庫)水の時計 (角川文庫)
(2005/08/25)
初野 晴

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水の時計」(感想
(著)初野 晴

医学的には脳死と診断されながら
月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。

生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた葉月が望んだのは
自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった――。
透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた
ファンタジックな寓話ミステリ。

第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

いやいや。
面白かったです。

衝動買いが上手くいくと
とても、嬉しいです。

最後のあたりが少し駆け足だった気もしますが
全体的には緻密に、きちんと考えられた作品という印象を受けました。

『幸福な王子』を元にして、「臓器と脳死」をテーマとし
ファンタジーに甘く流れていきそうなところを
キャラクターたちが味わう現実の過酷さや感情の濃さで
しっかりと引き締めている感じがします。

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TOKAGE 特殊遊撃捜査隊

TOKAGE 特殊遊撃捜査隊TOKAGE 特殊遊撃捜査隊
(2008/01/11)
今野 敏

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TOKAGE  特殊遊撃捜査隊」(感想
(著)今野 敏

大手銀行の行員三名が誘拐され
要求された金額は十億。
警察と犯人との攻防を描く。

取引先の方から貸していただいたのですが
これは、おもしろい。
一気に読んでしまいました。

タイトルのTOKAGEとは
警視庁捜査一課特殊犯捜査係内の覆面捜査部隊の通称だそうです。

装丁から推測されるような派手なカー(バイク)アクションはなく
あくまで、秘密裏に対象を観察・捜査していく存在として描かれます。

もはや、「警察小説」の職人芸の域に達しているように感じます。

冷静で周到な犯人。
その犯人と交渉を行う者。
管理官同士の確執から生まれる現場の混乱。
地道な捜査を続ける現場の捜査員たち。

次第にあらわにになっていく
警察側と銀行側との考え方の違い。

報道協定の中、事件に食らいつく新聞記者。

どれも、無駄がなくきっちりと話(視点)が
進んでいき、結末に収束していく様は、見事です。

本当に、楽しませていただいたのですが
この内容であれば
もっと掘り下げることもできたような気がします。
(我ながら、勝手なことを書いていますが)

あえて、この枠に収めるのも
潔いといえば潔いかもしれませんが

これだけのアイデアがあれば
もっと克明に描いて
書きこんで
上下二巻とかでも読んでみたかった気がします。

シリーズ化をおそらく念頭に書かれていると思いますが
続巻を強く希望します。

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23 : 55 : 00 | 本感想 | TB(0) | Comment(0) | UP↑

いけちゃんとぼく

いけちゃんとぼくいけちゃんとぼく
(2006/09/01)
西原 理恵子

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いけちゃんとぼく」(感想
(著)西原 理恵子

ある日、ぼくはいけちゃんに出会った。
いけちゃんはいつもぼくのことを見てくれて、ぼくが落ち込んでるとなぐさめてくれる。
そんないけちゃんがぼくは大好きで・・・・・・。

友人に貸していたのが戻ってきました。
友人曰く「良く意味がわからんかった・・・」

それを聞いていた友人の奥さんが
「私は、スゴイ泣けた。特に、最後が良かった~~」

感想が両極端で面白かったです。

再読してみたのですが
正直、ラストの仕掛けよりは
自分としては100うみの下りと
ぼくがおふろや寝ることや夜、トイレに行けないところを嫌がる下り
友人たちについて語った部分なんかが、ぐっときます。

ただ、同著者の他の作品
『ぼくんち』などと比べると
ちょっと物足りない感じはぬぐえません・・・

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13 : 50 : 00 | コミックス感想 | TB(0) | Comment(0) | UP↑

リセット・ボタン

リセット・ボタン (幻冬舎文庫)リセット・ボタン (幻冬舎文庫)
(2000/06)
伊藤 たかみ

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リセット・ボタン」(感想
(著)伊藤 たかみ

大学生の僕は自殺志願者が集まるホームページで、
昔の恋人と同じ名前の「荻原ミサ」と出会う。

遺書を集中して書ける場所が欲しいと言うミサのために、
自分の部屋を提供することになった僕は、次第に彼女に恋心を抱いていく・・・・・・。

人生の夏休みに見つけた期限付きの恋。
眩しく輝く彼女は僕の腕をすり抜けていくのか?書き下ろしラブストーリー。

帯と上記の内容から惹かれて読んでみましたが・・・
感想としては、正直・・・
自分の中には何も残りませんでした。

おそらく、「完全自殺マニュアル」の
青酸カリ入りのペンダントの話から着想を得たのでしょうが・・・

うーん。
ここまで、何も感じない本というのも、珍しいです。

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新吼えろペン 11巻

新吼えろペン 11 (11) (サンデーGXコミックス)新吼えろペン 11 (11) (サンデーGXコミックス)
(2008/09/19)
島本 和彦

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新吼えろペン 11巻」(感想
(著)島本 和彦

最終巻です。

いや~。
読み終えたから、だいぶ経っているのですが

さて、どうしたもんでしょうね。
この終わり方はどう考えたらいいのか・・・

いつもの“あとがきマンガ”もなく
これが今の著者の言いたいことなのか。
あえて、勝負にでたという感じはヒシヒシと伝わってきます。

安易に、肯定も否定もできないなぁ・・・

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20 : 30 : 00 | コミックス感想 | TB(0) | Comment(0) | UP↑

ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 4巻

ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 4 (4) (チャンピオンREDコミックス)ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 4 (4) (チャンピオンREDコミックス)
(2008/09/19)
横山 光輝今川 泰宏

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ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 4巻」(感想
(原作)横山 光輝(脚本)今川 泰宏
(漫画)戸田 泰成

カナーリの牢獄編開幕!
地球を燃やし尽くす光球によって傷ついたジャイアントロボ。
ロボを直すため、大作は「カナーリの牢獄」へと旅立つ!
その大作の前に現われた謎の少女・・・そして超人間ケリー!
豹子頭・林冲も、自らの正体に戦慄する!

うーん。
この大作。反省しない・・・

白昼の残月の正体や幻夜の扱いなど
気になるところはあるんですが。

読むのやめようかな。

無意味な読者サービスも興醒めだし・・・

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木更津キャッツアイ 日本シリーズ

木更津キャッツアイ 日本シリーズ木更津キャッツアイ 日本シリーズ
(2004/04/29)
岡田准一櫻井翔

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木更津キャッツアイ  日本シリーズ」(感想
(監督)金子 文紀
(主演)岡田 准一 櫻井 翔 佐藤 隆太 塚本 高志 岡田 義徳
(脚本)宮藤 官九郎
(プロデューサー)磯山 晶

余命半年を宣告されたのぶっさんは死ぬほど元気だ。
野球にビールに明け暮れるいつもと変わらない毎日。

この夏、木更津で大規模なロックフェスティバルが開催されることに。
出演アーティストの氣志團の推薦で、なんとキャッツのメンバーも参加が決定。
そんな折、突然みんなの前に死んだはずのオジーが現われ、キャッツたちは大騒ぎ。

久しぶりに観ました。

個人的には、このシリーズの中では
一番出来が落ちると思っているのですが・・・

それでも、最初でぶっさんが自分の余命を医師に確認するシーン。


「どんくらい持つかで、

ペース配分、

変わってくっから・・・」


ってところが、笑えるんだけど、バカなんだけど
よく考えると、とても深いセリフが好きです。

本当に死や命に対して
こんな考え方やセリフが出てきて
十分、笑わせることが出来る脚本と
それを演じきる役柄と役者がいるということは
スゴイことだと思います。

後半の展開はちょっとひどすぎますが・・・

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23 : 50 : 00 | 映画・アニメ・DVD・TV感想 | TB(0) | Comment(3) | UP↑

耳をすませば

耳をすませば (りぼんマスコットコミックス)耳をすませば (りぼんマスコットコミックス)
(1990/02)
柊 あおい

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耳をすませば」(感想
(著)柊 あおい

読書が好きな中学生、月島雫は
県立図書館の貸出カードに
書かれている
天沢聖司という名前に気づく・・・

こちらも再読。

自分が少女マンガを読むきっかけになったのは
一つ下の従姉妹が「りぼん」を定期購読していたからでした。

もっと正確に言うとそこに掲載されていた
著者の描かれていた
『星の瞳のシルエット』が面白かったのが一番の理由だったと思います。

今回はそちらではなく
自分が初めて購入した少女マンガであるこちらの感想を

ジブリのアニメも有名ですが
個人的には原作の方が好きです。

シンプルなストーリーでありながら

夏休みの教室。
静かな校舎の中を歩いていく姿や
図書館の窓から見える風の動き
などの
美しい、風景描写。

自分の中で
少しづつ、育っていっている何かを
大事にする気持ちや

聞くことをためらってしまう。
その気持ちの揺らぎを
楽しんでいる感覚。

中学一年という設定が
とてもしっくりしていて
自分に恋愛感情を抱いていた
男性の友人へのとまどいだったり

好きになったと自覚するところや
自分の想像で相手の気持ちを測って
不安になってみたりする

(いきなり、自分の姉のことを好きなのではと
感じるのは、多少無理がありますが・・・)

細かな感情の動きを丹念に描いている様子。

本当に一度しか経験できないような
その時期を
閉じ込めているような作品です。

後半は少し、急ぎすぎている気もしますが

当時の「りぼん」ですので
きっちりとお互い告白して
ハッピーエンドになります(笑)

映画だと、どうしても話がしっかりしすぎてしまっていて
(中学三年でプロポーズってところも含め・・・)
この作品のもつ小さな美しさが失われてしまったように感じます。

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ささめきこと 3巻

ささめきこと3 (MFコミックス アライブシリーズ)ささめきこと3 (MFコミックス アライブシリーズ)
(2008/09/22)
いけだたかし

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ささめきこと 3巻」(感想
(著)いけだ たかし

学園モノの王道を極めます!と裏表紙に書いてあったため
だらだらと、展開するのではないかという
一抹の不安をもって読み始めましたが
杞憂でした。

今回はヒロイン純夏の普段は表に出さなかった感情が
爆発するところが良かったです。

二人の初めての出会いも語られたり
その当時の微妙な友人集団の中から外れていく
二人の姿が非常に印象的で心が打たれます。

季節感を重視した表紙もとても良いと思います。

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イン ザ・ミソスープ

イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)
(1998/08)
村上 龍

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イン ザ・ミソスープ」(感想
(著)村上 龍

夜の性風俗ガイドをしているケンジのもとを
訪ねてきたアメリカ人・フランク
その顔は奇妙な肌に包まれていた。

そしてその顔は売春をしていた女子高生が手足と首を切断され
歌舞伎町のゴミ処理場に捨てられたという記事をケンジに思い起こさせた。

ケンジは胸騒ぎを感じながらフランクと夜の新宿を行く。
97年夏、読売新聞連載中より大反響を引き起こした問題作。
読売文学賞受賞作。

あとがきによれば
掲載当時に少年Aの起こした事件があり
日本という共同体の崩壊をあまりにも顕著で
どれだけ小説を書いても、日本的な共同体の崩壊という現実に追いつかない、と
また、言葉を失って喘いでいる人々の叫びと囁きを翻訳するのが文学である
と考えている著者にとっては
何か汚物処理を一人でまかされている気分になったのだとまで書かれている。

その言葉どおり、凄惨な殺人のシーンが
過剰なまでの言葉で描かれていますが
この作品の面白い所は
異物として入ってきたフランクからも
否定される日本の現状であり
弱い人間達の姿である。

フランクは日本という壊れた国の中で殺戮を繰り返す。
そして、それをみたケンジは何故、殺されたのか推測する。

中南米の女達も、家族にたとえばテレビを買ってやるためにからだを売っている。
彼女達は真剣だ。
欲しいものがはっきりしているから、迷うことがないし、何となく寂しいとは、思わない。
(中略)
どうでもいいことのためにみんなあそこにいた。
これがなければ死んでしまう、というような目的を持ってあの店にいた人間は一人もいない。
何となく寂しいからという理由でただ、時間をつぶすためにあの店にいたのだ。
あそこで死んだのはそういう人間たちだった。

そして、フランクはケンジに対し
最初の殺人を犯した記憶を語りはじめる。

メディアでは、ぼくがそれに影響を受けていたということになった。
要するに、子どもが犯した殺人の原因を見つけて、
みんな安心したいだけなんだ、子どもの殺人に原因はないよ、
幼児が迷子になるのに原因がないのと同じだ。
親が目を離したから?
それは原因じゃなくて子どもが迷子になる過程の一つにすぎない

殺人を繰り返すフランクは自分探しですらも簡単に否定してのけ

自分じゃないみたいな気がしたが、
きっと本当に自分じゃなかったんだと思う、
でもそんなことはどうでもいいんだ、
どれが本当の自分なんて、くだらないことだ、
だいいち、ほんとうの自分なんか、内臓を掻き回して捜したって、
見つかるわけがない、
皮膚を切り裂いても、そこにあるのは血と臓器と筋肉と骨だけだ

フランクの話に嫌悪感を感じながらも
奇妙な親近感をおぼえ
ケンジもこの日本という国に対する憤りをあらわにする。

この時点でケンジは我々読者であり
著者でもあるのだという感じがします。

通常の小説であれば、
ケンジのが自分の生命の危機について
力が注がれる展開になってもおかしくはないのですが
そういう展開にもならず
最終的にはフランクは去っていきます。

小説的に弱いという感じもしますが
ただ、それでもいいと思ってしまうほど
後半のフランクとケンジの会話や
フランクという異物と日本がどのように混ざっていくのか。
タイトルの意味も含め、考えさせられる作品です。

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宝石泥棒

宝石泥棒 (1980年)宝石泥棒 (1980年)
(1980/01)
山田 正紀

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宝石泥棒」(感想
(著)山田 正紀

もっとも固く禁じられていること――
いとことの恋におちいってしまった
甲虫の戦士ジローは旅に出た。

かつて、あらゆる民族の共有物であり、
生きとし生けるものすべての運命をつかさどっていた
宝石、人々はこの宝石を<月>と呼んだ。
この宝石を探し出し、奪い返せば、ジローの望みはかなうという。

牡牛の頭の仮面をかぶった女呪術師ザウアーと
神の寵児〈バム〉チャクラという
旅の友を得たジローは

巨大な魚が空を飛ぶジャングル
体長3メートルを越えるイナゴが跋扈する草原
火を吹くサラマンドラが巣くう砂漠を、<月>の手がかりを求めて進んでいくが・・・
奔放なイマジネーションで、独自の幻想的未来を描き出した星雲賞受賞作。

これも再読です。

異世界を構築するのに
ここまで、貪欲に現実世界の動物や神話を利用・解体し再構築していく。
註釈の多さにも圧倒されますが

20数年前
(ヒロイック・ファンタジーなどごく一部の人間が読んでいた)時代に
これだけのものを作ってしまい
なおかつ、最終的には
きちんと、SFとして結実せてしまう技量には
やはり、感服します。

この著者の初期の作品のテーマの一つである
絶対者に対する反抗であったり
主人公や登場人物たちも
後々の作品で登場する“原型”のような趣があり面白いです。
特に旅に同行する一人、神の寵児=“狂人”チャクラのキャラクターは
今、読んでも新鮮です。

現在、手にいれやすいのはハルキ文庫版かもしれません。

宝石泥棒 (ハルキ文庫)宝石泥棒 (ハルキ文庫)
(1998/10)
山田 正紀

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復讐するは我にあり

復讐するは我にあり デジタルリマスター版復讐するは我にあり デジタルリマスター版
(2004/03/25)
緒方拳

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復讐するは我にあり」(感想
(監督)今村 昌平
(主演)緒方 拳

大学教授や弁護士などを騙って5人を殺害し、
全国を逃走した榎津厳の生涯・・・・・・

時間がとれたので、ようやく、見直しました。
自分がもっとも好きな緒方拳の映画です。

内容は万人向けではありません。
実在の事件をもとにしており
原作以上に、物凄い力で
人を惹きつける作品です。

子供心に緒方拳はあくの強い
怖い顔をしていると思っていたのですが。
ここでの緒方拳も濃いです。

勿論、顔だけでなく、演技も脂がのっています。
本当に、眼鏡をかけただけで
大学教授のようであったり
弁護士のようであったり
そうかと思えば
やはり、犯罪者以外のなにものでも
ないような顔をしていたり・・・

そして、三國連太郎演じる父親との凄まじいまでの対立。
清川虹子との一瞬生まれる緊張感のあるやりとり。

特に父親との関係は
きれいなものは一つもないと言っても良いでしょう。
救いようのない“親”と“子”の関係。

お互いを憎み、嫌悪しておきながら
断ち切ろうとしても
どこかやはり、似ている。

同じ歌を口ずさむところも
その表れなのかもしれません。

見終わったあとに
緒形拳演じる主人公だけでなく
三國連太郎演じた父親にも
なんともいえない感情を抱くと思います。

そこまできっちりと映画として描ききっている
監督の冷徹さも凄いです。

あとは“方言”の徹底ぶりが
目だたないところですが
しっかりしています。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

22 : 45 : 00 | 映画・アニメ・DVD・TV感想 | TB(0) | Comment(2) | UP↑

1973年のピンボール

1973年のピンボール (講談社文庫)1973年のピンボール (講談社文庫)
(2004/11)
村上 春樹

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1973年のピンボール」(感想
(著)村上 春樹
さようなら、3フリッパーのスペースシップ。
さようなら、ジェイズ・バー。

双子の姉妹との<僕>の日々。
女の温もりに沈む<鼠>”の渇き。
やがて来る一つの季節の終り――

ほとんど、内容を覚えていなかったので
新鮮な驚きとおもしろさがあった。
小説としても、面白かったし、終わり方も良い。

前作、『風の歌を聴け』で語られていなかった<僕>の生活。
謎の双子(208・209のトレーナーシャツの下りも良い)と暮らしつつ
友人と翻訳の事務所を始める<僕>。

そして、同じ頃、<鼠>は一つの季節の終わりに気付き
「ジェイズ・バー」でジェイと話し、女と出会う。

<僕>と<鼠>の話を交互に展開させながら
話は進んでいくのですが、

双子の存在で救われてる<僕>
ジェイと女と会いながらも、得体の知れない焦燥感を持つ<鼠>

印象に残ったところは
やはり、ピンボールマシン「スペース・シップ」と<僕>の邂逅シーン。
冷凍倉庫に並べられた七十八台のピンボール・マシンが起動するところも
幻想的な美しさがあるのですが
<僕>と「スペース・シップ」との対話のシーンは素晴らしい。

<鼠>のパートでは
ジェイと「理由のない悪意」について話すところと
「ジェイズバー」でもどしたあとに何とか自分を保とうとするシーン。

あとは個人的な備忘録として

 見知らぬ土地の話を聞くのが病的に好きだった。
彼らはまるで枯れた井戸に石でも放り込むように僕に向かって実に様々な話を語り、
そして語り終えると一様に満足して帰っていった。(P1)

1ページ目から井戸の比喩が登場する。

そして「直子」の唐突な登場。
『ノルウェイの森』に登場する「直子」とは別人のようだ・・・

双子の登場。
井戸堀り職人の話。
その最後に
 僕は井戸が好きだ。井戸を見るたびに石を放り込んでみる。
小石が深い井戸の水面を打つ音ほど心の安まるものはない。(P19)

と井戸について語ったのちに

 帰りの電車の中で何度も自分に言いきかせた。
全ては終わっちまったんだ、もう忘れろ、と。
そのためにここまで来たんじゃないか、と。
でも忘れることなんてできなかった。直子を愛していたことも。
そして彼女がもう死んでしまったことも。
結局のところ何ひとつ終わってはいなかったからだ。(P24)

「直子」の死。

そして、前作と同じように時間の規定。
一九七三年九月、この小説はそこから始まる。(P26)

双子の存在。

(中略)もし僕に双子の兄弟がいて(P31)
<僕>は双子ではないことがわかる。

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WORST 21巻

WORST 21 (21) (少年チャンピオン・コミックス)WORST 21 (21) (少年チャンピオン・コミックス)
(2008/10/08)
高橋 ヒロシ

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WORST 21巻」(感想
(著)高橋 ヒロシ

まぁ、花と天地の決着がつき・・・
これが最終なのか、一時的なものなのかはわかりませんが

正直、雑誌掲載時から思ってはいるのですが
やっぱり、おもしろくない。

著者はそういう意図ではないと思うが
どうしても問いたくなる。
「不幸自慢なのか?」

花が「君島」と呼びかけた意図も解る。
だが、そういう話だったっけ?

この世界の強さってそんなもので測るもんだっけ?

天地だけでなく
主人公の花自体もキャラクターの重み、貫目のようなものが
足りないように思えてならない。

作中で(著者が)
周囲のキャラクターに語らせているが
そこまでの器のあるキャラクターなのか?

個人的には、前作のブルのような人望も。
鉄生のように自らのファミリーを思う気持ちも
足りていないように思える。

それで、誰も成し遂げたことのない
鈴蘭統一が果たせるのか?

今までのキャラクターにないものを
持っていることを証明しなければならないのでは・・・・?

そして、花、村田将五、月本光政の物分りのよさが
気になる。

(村田将五も天地との因縁も
もはや、なかったことになってしまいました・・・)

衝動とか、野生とか
そんなものが
この著者のキャラクターにはあったはずだ。
皆、それに惹かれて読み始めたはず。

己に対する自負であったり、納得・許容できないものへの怒り
といったら良いのか。

クローズでは阪東の言っていたセリフが
WORSTではブッチャーが秀吉に向かって言ったセリフが
一番好きです。

「ゴチャゴチャ うるせーよ」

「なに?」

「下手にでてりゃー いい気になりやがって・・・」

この際だから

言わせてもらうけどよ 

わしがこの鈴蘭で「上」と認めたのは

花木九里虎だけだせ!


あんたらの「下」なんて

思ったことはいっぺんもねーぜ!

年が一つ上ってことをぬかしゃー

わしとあんたらは同格なんだぜ!


「てめーとオレが同格だと・・・」

「秀吉さん
あんた ゼットンのおっさんが花木にやられた時 動かなかったよな
昔のあんたならソッコーでいったはずだ!!」

!!

「もし負けたら一派の頭としての立場がなくなる・・・
そんな風に 思ったかい?」


やっぱ“狂犬”と言われた

あんたでもせっかく積み上げた

積木が崩れるのは怖いかい!

“ゼロ”に戻るのは怖いかい!

ずいぶんひょったんじゃねーんかい


えー!?


これから先、WORSTの登場人物は
これだけの力のある言葉を吐けるだろうか?

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風の歌を聴け

風の歌を聴け (講談社文庫)風の歌を聴け (講談社文庫)
(1982/07)
村上 春樹

商品詳細を見る

風の歌を聴け」(感想
(著)村上 春樹

一九七〇年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、
友人の<鼠>とビールを飲み、
介抱した女の子と親しくなって、
退屈な時を送る。
<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。

『1973年のピンボール』を探している最中に
こちらの方が見つかったので再読。

この作品は時折前半の部分と
後半の特に37章(?)の部分を思い出したように
読み返すことがあります。

一行だけの章もあるので
パラグラフといった方がいいのかもしれません。

初読は17~18歳ぐらいの頃で
『ノルウェイの森』で懲りて(笑)
この著者の作品には手を出すまいと思っていたのですが

当時の現国の問題集の中で
7章の部分
無口な少年である“僕”が精神科医とカウンセリングを行う下り
を取り上げられていたのに興味を引かれて
読むことになりました。

(余談ですが、その問題集は定番の
夏目漱石、森鴎外だけでなく
村上龍の『コインロッカーベイビーズ』や
沢木耕太郎の『人の砂漠』
本多勝一などが取り上げられていて
周囲に本を読む人間が少なく
図書館の司書の先生ぐらいしか
本を薦めてくれる人がいなかった

地方の高校生には
とても参考になり
読書の幅を広げてくれました。

そういった意味では、現国教育も
意味のあるものだなと思います。

さて、内容ですが・・・

謎の作品です。

印象的な文章は随所にみられますが
内容については正直・・・?
まずは冒頭。

 「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」

 僕に書くことのできる領域は限られたものだったからだ。
例えば、象について何かが書けたとしても、象使いについては何も書けないかもしれない。
そういうことだ。

 結局のところ、自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。

うーん。
わかったような、わからないような。
タイトルも含め、格好は良いけれども・・・
どうしても、“軽い”印象が拭えない。

この“軽さ”が当時の文学にとって
インパクトを与えた事は
想像には難くないのですが。

個人的には
象について書けるのであれば、象について書けばいいじゃん
とか思ってしまうのです。

 ハートフィールドが良い文章についてこんな風に書いている。
「文章を書くという作業は、とりもなおさず自分と自分をとりまく事物との距離を確認することだ
必要なものは感性ではなく、ものさしだ」
  僕がものさしを片手に恐る恐るまわりを眺めはじめたのは確かケネディー大統領の死んだ年で
、それからもう15年にもなる。
(中略)
15年の間僕はありとあらゆるものを放りだし、そのかわりに殆んど何にも身に付けなかった。

ハートフィールドなる謎の作家の登場。
ロバート・E・ハワードやハワード・P・ラヴクラフト
エドガー・R・バローズなんかを思い起こさせますが
(ネット等で調べてみると、どうやら、架空の作家のようですが)

“僕”もしくは著者の小説に対する考えを代弁させる存在なのかもしれません。

 僕はノートのまん中に1本の線を引き、左側にその間に得たものを書き出し、
右側に失ったものを書いた。
(中略)
僕がここに書きしめすことができるのは、ただのリストだ。
小説でも文学でもなければ、芸術でもない。
まん中に線が1本だけ引かれた一冊のノートだ。
教訓なら少しはあるかもしれない。

 もしあなたが芸術や文学を求めているのならギリシャ人の書いたものを読めばいい。
真の芸術が生み出されるためには奴隷制度が必要不可欠だからだ。
(中略)
 夜中の3時に寝静まった台所の冷蔵庫を漁るような人間には、
それだけの文章しか書くことはできない。

 そして、それが僕だ。(1章)

ギリシャ人の書いたもの
そういえば、ギリシャ悲劇の「機械仕掛けの神」
(デウス・エクス・マキナ)を語る下りが
『ノルウェイの森』にもありましたね。

ケネディー大統領の死んだ年も(1963年)再三登場しますが
これからから推測すると
文章を書き出して15年(1978年)が物語が書かれた時点と考えられます。

そして、唐突に“僕”と読者の心理的距離を縮める為に
用意されたような文章で締められる。

この話は1970年の8月8日に始まり、18日後、つまり同じ年の8月26日に終わる。(2章)

この話が既に回想譚であることと18日間の規定された物語であることを提示。

3章で友人<鼠>とバーテンのジェイ、「ジェイズ・バー」の登場。
ビールとピーナッツ、そして猿の版画。
「金持ちなんて・みんな・糞くらえさ。」

4章で<鼠>との出会い。

5章で本を読まない<鼠>との会話。
「何故本なんて読む?」
「何故ビールなんて飲む?」

「生きている作家になんてなんの価値もないよ。」
「何故?」
「死んだ人間に対しては大抵のことが許せそうな気がするんだな。」

『ノルウェイの森』での永沢さん(先輩)が
時の洗礼を受けていない本を読まない理由として挙げていた事と
大意としては同じなのか?

<鼠>の小説に対する考え方
「(中略)何故そんなことまで小説に書く?他に書くべきこともあるだろう?」

「俺ならもっと全然違った小説を書くね。」

<鼠>が小説を書きはじめるきっかけ(?)

6章 鼠の小説について
鼠の小説には優れた点が二つある。
まずセックス・シーンの無いことと、それから一人も人が死なないことだ。
放って置いても人は死ぬし、女と寝る。そういうものだ。

『ノルウェイの森』とは対極なのか?
あるいは、放って置いても人は(自殺)をするし、
(生きている人間は)女と寝るという意味?

7章 前述の精神科医との会話。
文明とは伝達である、と彼は言った。
もし、何かを表現できないなら、それは存在しないと同じだ。
いいかい、ゼロだ。

医者の言ったことは正しい。
文明とは伝達である。
表現し、伝達すべきこと失くなった時、文明は終わる。
パチン・・・・・・・OFF。

8~9章 左手の指が4本しかない彼女の登場。

10章 「ジェイズ・バー」年上の女との会話。

11章 ラジオN・E・B DJの登場。

12~14章 DJとの会話「カリフォルニア・ガールズ」LPを借りた女の子

15章 左手の指が4本しかない彼女との再会。LPを購入。

16章 「ジェイズ・バー」<鼠>が読書をしている。プレゼントとしてLPを渡す。

17章 「カリフォルニア・ガールズ」LPを借りた女の子を捜すが見つからない。

18章 左手の指が4本しかない彼女から電話。<鼠>モリエールを読んでいる。

19章 <僕> 21歳になった。これまで三人の女の子と寝た。
最初の女の子。高校のクラスメート。17歳。 
眠れぬ夜に、僕は時々彼女のことを思い出す。それだけだ。

二人目の相手。地下鉄の新宿駅であったヒッピーの女の子。16歳。
ノートの切れ端に「嫌な奴」と記し、姿を消す。

三人目の相手。大学の図書館で知り合った仏文科の女子学生。
翌年の春休みにテニスコートの脇にあるみすぼらしい雑木林の中で首を吊って死んだ。
新学期が始まるまで気づかれず、まるまる二週間風に吹かれてぶら下がっていた。

20章 「ジェイズ・バー」で左手の指が4本しかない彼女との会話。
     お父さんは五年前に脳腫瘍で死んだ。     
     双子の妹がいる。
     八つの時に左指を失う。
     <僕>帰省中。東京の大学に通い生物学を専攻。

21章 三人目のガールフレンドが死んだ半月後(4月~5月)
    ミシュレ「魔女」を読んでいた。
    私の正義はあまりにあまねきため

22章 左手の指が4本しかない彼女の家に呼ばれる。
    明日から1週間ほど旅行に行くと告げられる。

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23 : 45 : 00 | 本感想 | TB(0) | Comment(0) | UP↑

男どき女どき

男どき女どき (新潮文庫)男どき女どき (新潮文庫)
(1985/05)
向田 邦子

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男どき女どき」(感想
(著)向田 邦子

この著者の作品は「思い出トランプ」ぐらいしか
読んだことがなかったのですが。

「男どき女どき」題された四編。
どれも、日常が少しかき乱される短編なのですが
やはり上手い。

別れた愛人から送られてきた鮒について書かれた「鮒」
ラストの余韻が光る「三角波」

あと、エッセイも著者の肉声が聞こえるようで
良いです。
中でも

誰が見ていなくても、独りでいても、慎むべきものは慎まなければいけないのです。
ああ、あんなことを言ってしまった、してしまった。
誰もみていなかった、誰も気がつきはしなかったけれど、なんと恥ずかしいことをしたのか。
闇の中でひとり顔をあからめる気持ちを失くしたら、どんなにいいドレスを着て教養があっても、
人間としては失格でしょう。
「独りを慎む」、これは人様に対して言っているのではありません。
独立して十七年になりながら、いまだになかなか実行出来ないでいる自分に向かって、意見していることばなのです。

と書かれた「独りを慎む」と
物の選び方について書かれた「黄色い服」が良かった。

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雷の季節の終わりに

雷の季節の終わりに雷の季節の終わりに
(2006/11)
恒川 光太郎

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雷の季節の終わりに」(感想
(著)恒川 光太郎

雷の季節には
よく人が消える。

それは、もう仕方がないんだ。

少年時代を過ごしたその町には
春夏秋冬の他に、
もう一つの季節があった――。

現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。
彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。
しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。
姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。

風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、
穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、
賢也はその存在を隠し続けていた。

賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。
ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。
風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは――?
(帯より)

長編第一作目でこの完成度。
才能というか、なんというか・・・

読み手にイメージを起こさせる力。
言葉(名詞)の造語能力と色・情景の描写力だけでなく、
今回は『秋の牢獄』収載の『神家没落』にも登場したような
悪人の存在も物語に緊張感を与えます。

この著者の短編の切れ味とも呼ぶべき
妖しい美しさというものは
今回は影を潜め、構成の妙や伏線であったり
長編での異世界の構築に力が注がれているように思います。

現実世界の話部分と異世界・穏との交差する部分などが
本当にスムーズに読むことができるのは
この著者の基本的な文章の上手さによるものが大きいと思います。

次に何を書いてくれるか本当に楽しみです。

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スプトーニクの恋人

スプートニクの恋人 (講談社文庫)スプートニクの恋人 (講談社文庫)
(2001/04)
村上 春樹

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スプートニクの恋人」(感想
(著)村上 春樹

この世の物とは思えない奇妙な恋の物語

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。
広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。
それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、
片端から空に巻き上げ、
理不尽に引きちぎり、
完膚なきまでに叩きつぶした。
――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!

ラブストーリーなのか??
読み終えたあと
一番最初に感じたところは
そこでした。

最初の
すみれとミュウを語りながら
次にすみれとぼく
ミュウとぼく
最終的には
再び、すみれとぼくの関係を語る。

ラブ・ストーリーとしてというよりは
人と人の関係を語る物語であったように感じます。

再三、語られる
どこかに行きたい どこにも行けないことについて。
孤独とか、不在について。
性欲とか、そういったものを失った存在について。
(井戸と同じく、この著者の普遍的なテーマかもしれませんが)

そして、話の中に色合いの違った
いくつもの断片が
混ざりこんでいるような印象も受けました。

ギリシャから帰ってきてからの
警備主任との会話のシーンであったり

ラストのすみれの帰還に対しても
あまりにも唐突な印象を受けます。

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YOUNG KING アワーズ 2008年 11月号

YOUNG KING アワーズ 2008 11月号
感想

「HELLSING」最終回。
表紙にも堂々完結と書いてありますが・・・

良くも悪くもこの著者らしい終わり方というか
10年連載した作品の終わりがこれかという感じもしますが。

前回・前々回が良すぎただけに期待をしすぎたのかもしれません。

タイトル・作者は秘密の
六道神士
ホーリーブラウニー
が登場する「HELLSING完結記念スペシャル寄稿まんが」は
笑えました。

大前提の確認のあたりは
おそらくアワーズを購入するほとんどの読者が
同意する(笑)内容だと思います。

本当に単行本収録されない内容だと思うので
「HELLSING」ファンの方や「エクセル・サーガ」ファン
の方は是非、手に取ってみてください。
笑える、というか、違った意味で泣けます。

今回はそれよりも
「惑星のさみだれ」第42話。
いや、スゴイ、スゴイ。

東雲兄弟の話だけでも
いい味をだしていたのですが

三日月と夕日の勝負の場面は
鳥肌ものです。

最近の展開といい
この著者は“化けた”感じがします。

そこらの少年マンガよりも
熱いです。

10月29日発売のコミックス6巻の表紙も
泣けます。

テーマ:雑誌(既刊~新創刊) - ジャンル:本・雑誌

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劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン

劇場版さらば仮面ライダー電王 
ファイナル・カウントダウン

感想
(監督)金田 治 (主演)佐藤 健

巷で噂の幽霊列車。
それを探るためモモタロスたちが行動を開始するが、
その前に<仮面ライダー幽汽>が立ちはだかる。

しかもその体には、誘拐された良太郎が使われていた!
幽汽の猛攻に侑斗が重傷を負う中、
装いも新たなデンライナーで駆けつけたのは、
新しい電王を名乗る戦士だった!

良太郎から託された「象を守れ」という謎の言葉とチケットを手がかりに、
モモタロスたちはおよそ300年の昔にデンライナーを走らせる。

良太郎を誘拐して幽汽に変身させ、
生と死の時間を入れ替えようと画策する謎の男……。
新たな敵を相手に、良太郎が最後の戦いに挑む!! 

舞台を1729年に移し、それぞれの愛と友情のレールが交錯し、
戦いの物語は激情のクライマックスを!
(公式HPから抜粋)

今回も、子供二人と観にいってきました。

感想としては、今回は厳しかったなぁ~という印象です。
電王の世界が好きな方でも
さすがに「これはちょっと・・・?」

以下ネタバレ
CMの上手さというのか
ほぼ、8割ぐらいの方がモモタロスの生死というか
「俺、クライマックス!」の部分が気になって
劇場に脚を運ぶと思うのですが・・・
(子供二人もそこが気になっていたのですが)

ぶっちゃけるとモモタロスは存命です。

タイトルの「さらば~」の意味も特にありません。
(ソードフォームが意味ありげに出てきたりもしていますが)

謎の男・死郎の「時間をひっくりかえす」
「生と死をひっくりかえせ」理由も特に共感も得られずに
終わってしまった感じがします。

新電王も登場するところはなかなかでしたが・・・
それ以外は・・・

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

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ぼくらの 9巻

ぼくらの 9 (9) (IKKI COMIX)ぼくらの 9 (9) (IKKI COMIX)
(2008/09/30)
鬼頭 莫宏

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ぼくらの 9巻」(感想
(著)鬼頭 莫宏

いよいよ終盤です。
「宇白可奈」編①~⑤と「宇白順」編①収録。

もう本当に、毎回、ぐっときますが
今回は本当に泣かされました。

何なんでしょうか、この著者の感性は。
自分のキャラクターに対する距離の取り方が独特というのか。
創造した人物達に愛着がないといわんばかりの展開をしておきながら
おそらく、普通の書き手であれば
あと、もう少し、あと1ページ、1コマ、1セリフと
書き足してしまうところを
この著者はしっかりと抑制することによって
登場人物の感情を表現し、読み手に理解させる。

その技術に長けていると思います。

今巻は衝撃の展開続きだったのですが
ストーリーの展開もさることながら
「考えること」について
「大人の思考≒動物の思考」
「子供の思考=今日の食事を得るために思考力を使わなくていい期間
=最高の思考の喜びを与えられた期間」と論じているところが面白かった。

テーマ:感想 - ジャンル:アニメ・コミック

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Author:きみやす
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このブログは管理人である“きみやす”が
ひたすら、本やマンガの感想を
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