リレキショ
2007/02/12 ( Mon )
![]() | リレキショ (河出文庫) (2005/10/05) 中村 航 商品詳細を見る |
「リレキショ」 (感想)
(著)中村 航
履歴書に書いたときに僕は半沢良になる。
主人公が何者で、何故「姉さん」にひろわれたのか。
結論から先に述べるとすると
そういったことは結局、語られることはない。
ただ、積み重ねていくこと。
護身術であったり、自転車の整備であったり
ガソリンスタンドでの給油方法。
そんなディテールが語られていく。
その語り口が心地良い。
それはこの寓話ともよぶべき物語を
リアリティとかいうお約束をきせ
ほんの少し着地させる。
この作品の気持ちよさは
おそらくリレキショを書くことで誰かになれる。
その気楽さだ。
本当はそんな風にはいかないことは
(ここに書く必要もないほど)
みんな、わかっているのだけど。
ヒロインであるウルシバラとの交流もすごくいい。
受験勉強している机の窓から深夜のガソリンスタンドが見える。
その情景がなんとも幻想的で美しい。
・・・・・・とほめていますが
かなり好き嫌いの分かれる作品だとは思います。
正直、この作品の欠点はすぐに挙げることができます。
結末の軽さであったり、語られていない事柄についての不満。
「意志と勇気で結局何ができたのか?」とか。