イレギュラー
2007/01/03 ( Wed )
![]() | イレギュラー (2006/06) 三羽 省吾 商品詳細を見る |
「イレギュラー」 (感想)
(著)三羽 省吾
村が水害にあい、グラウンドも使えず
練習もままならないニナ高野球部。
「素質は全国レベル、態度はメジャーレベル」の剛速球投手コーキも
その素質をくすぶらせ、ナンパやケンカの日々。
そんなニナ高に、恰好の練習相手として
目を付けたのは名門野球部K高だった。
だが両校は合同練習初日に衝突する。
自分の球に絶大な自信を持つコーキはK高野球部に勝負を挑むが・・・
破天荒な主人公コーキと個性豊かな面々がイキイキと動き回ります。
かなり多くのキャラクターを配しながらも
きちんと描かれているあたりに著者の力量を感じます。
文章も読みやすく、ストーリー展開も王道をワザと外したりと
著者自身が楽しんで書いたのが伝わってきます。
ただ、そんな中にもきちんとテーマとして
「被災とその周辺」がしっかりと描かれています。
被災した村=かわいそうなだけではないのです。
被災者の苦しみももちろんの事ながら、
その近隣の町も助けるために努力しなければならない。
いつまで?という疑問(本音)をお互い持ちながら
(建前)も維持しなければならない。
その見えざる緊張感の中で、何とか野球で
希望を持たせようと努力するコーキ達。
それがニナ高とK高、ひいては村と町の対立を弱め
交流に結びついていく。
特にK校のバッテリーたちと交流を深めていくあたりが好きです。
ナインでない人間を替え玉にいれるのは
正直、醒めましたが、面白かったです。
個人的にはライバル校の部室で堂々と
くつろいでいるコーキには大笑いしました。
特に夏にオススメです。